日本には、季節の移り変わりとともに繰り返されるさまざまな年中行事や風習があります。
お正月や節分、夏祭りなど、日本の伝統文化を感じながら家族が一緒に過ごすことで、家族間の絆が深まります。
特に子どもたちにとっては、心を豊かに育む大切な経験となるでしょう。
この記事では、小さな子どもからおじいちゃんやおばあちゃんまで、家族全員で楽しめる年中行事についてご紹介します。
この記事では日本の年中行事について紹介しています。
最近では年中行事にあまり取り組まないといった声も聞きますが、是非この機会に取り組んでみてはいかがでしょうか。
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年中行事とは

年中行事とは、地域の生活の中で生まれ、代々受け継がれてきた伝統的な行事です。
これらの行事は古くは中国の文化が日本に伝わり、日本独自の暦や生活習慣と融合しながら変化してきました。
お正月、節分、お彼岸、お月見などは、それぞれが季節の節目で楽しまれている伝統的な行事です。
また、七五三や成人式などは、年齢や人生の節目に行われる儀礼や習わしです。
年中行事や習わしには、日本人の心と生活の知恵が息づいており、家族や地域社会が一体となって楽しむことで、連帯感を深めます。
西洋から伝わったクリスマスやハロウィンなども日本で親しまれ、特に子供たちにとっては大きなイベントです。
年中行事は、季節の変化や美しい風景を楽しみながら、家族みんなで大切に受け継いでいきたい文化です。
家族で楽しむ年中行事の良いところ
家族で楽しむ年中行事の良い点を3つ紹介します。
家族の絆を深めることができる
子どもが成長するにつれて、家族全員で過ごす時間が少なくなってきます。
家族行事は、みんなで同じ時間を共有することで絆を深める良い機会です。
年中行事があることで、普段以上に充実したコミュニケーションが図れるでしょう。
季節ごとの日本の伝統を伝えることができる
日本の年中行事には季節を感じられるものが多く、行事を通して季節の移り変わりを実感できるとも言えます。
また、孫やひ孫など子どもに日本の伝統を伝える良い機会です。
日頃ゲームに夢中な子どもも、お正月にはかるたやトランプなどをおじいちゃんやおばあちゃんと楽しむのも良いでしょう。
子どもの成長につながる
年中行事を家族と楽しむことで、子どもは新しい知識を取り入れ、さらに成長するでしょう。
伝統や文化に触れることは、子どもの心を育て、これからの人生で役立つ大切な経験です。
日本の年中行事
日本には四季があり、それぞれの季節に応じた様々な年中行事があります。
ここではそんな年中行事について季節ごとに紹介します。
春の行事と習わし

<ひな祭り・桃の節句> 3月3日
3月3日は「ひな祭り」です。
桃の節句とも言われ、女の子の幸せな成長を願う日です。
家ではひな人形を飾り、桃の花を供えます。
子どもの健やかな成長を願い、孫に贈り物を贈るおじいちゃんおばあちゃんも多いでしょう。
ひな祭りパーティーに招待されているなら、雛あられやひし餅など伝統的なお菓子を持参するのがおすすめです。
「これからも健やかに育ってね」という気持ちを込めて、孫が喜びそうなオモチャや女の子らしいヘアアクセなどを贈るのも良いでしょう。
<お花見> 3月下旬から4月上旬
寒さが和らぎ、春の気配を感じる頃になると、全国各地から桜の開花の便りが届きます。
この時期に楽しみなのがお花見です。
お花見は世代を問わず、誰でも楽しめる点が魅力です。
お花見の由来には諸説ありますが、平安時代に貴族が桜を愛でながら宴を開いたのが始まりとされ、江戸時代に一般庶民に広まりました。
次第に桜の名所が増え、春の恒例行事として定着したと言われています。
家族でお花見に行くのは楽しいですが、移動時間が長いと子どもやおじいちゃんおばあちゃんが桜を見ずに疲れてしまうかもしれません。
家からアクセスの良いお花見スポットを選びましょう。
<こどもの日・端午の節句> 5月5日
5月5日は、「こどもの日」と「端午の節句」が重なる日です。
こどもの日は、男の子も女の子もすべての子どもの健康と成長を祝う国民の祝日です。
一方、端午の節句は男の子の健やかな成長を願う行事で、五月人形を飾り、鯉のぼりをあげるなどの風習があります。
また、菖蒲湯に入る風習も伝統的です。
この日には、ちまきや柏餅といった伝統的なお菓子も欠かせません。
端午の節句は江戸時代から続く行事ですが、親が子どもの成長を願う気持ちは、いつの時代も変わらないと言えます。
<母の日> 5月の第2日曜日
母の日は年に1度、お母さんに日頃の感謝を伝える日で、5月の第2日曜日に決まっています。
毎年日付が変わるため、うっかりしていると母の日を忘れてしまうかもしれませんが、5月のゴールデンウィーク明けからすぐにやってきますので、お休み中に母の日の計画をたてておくと良いでしょう。
また、3月〜4月頃から母の日用のギフト情報がネット上で賑わうので、あらかじめプレゼントを決めておけば、急いで探すこともありません。
おばあちゃんがいるご家庭では、おばあちゃんにもプレゼントを贈ると喜ばれることでしょう。
夏の行事と習わし

<父の日>6月の第3日曜日
父の日は年に1度、父親に日頃の感謝を伝える日で、6月の第3日曜日に決まっています。
父の日が日本で普及しはじめたのは戦後と言われています。当時の認知度は低く、一般的な行事として盛んになったのは1980年代です。
6月は祝日もなく、うっかりすると父の日を忘れてしまうかもしれません。
あらかじめ贈り物を探しておくのもいいでしょう。
<七夕> 7月7日
日本の五節句のひとつである七夕の節句は、古代中国から伝わった伝説や風習に日本古来の文化が加わり、現代まで受け継がれています。
七夕には、短冊に思い思いの願い事を書き、笹に飾り付けます。
短冊や吹き流しなどの七夕飾りには、以下のように、それぞれ意味があります。
短冊:書の上達、学問の習得
吹流し:長寿
巾着:金運向上
紙衣(かみこ):裁縫の上達 ※紙衣は和紙を材料とした着物
掬い網(すくいあみ):豊作・祈願成就 屑籠:整理整頓
子どもや孫と一緒に七夕飾りを作るときは、それぞれの意味を教えてあげると良いでしょう。
<土用の丑の日> 土用の期間にある丑の日
(2025年の夏の土用の丑の日:7月19日と7月31日)
土用の丑の日に鰻を食べる風習は、古くから親しまれている日本の伝統的な習慣です。
立春、立夏、立秋、立冬のそれぞれ前の18日間を「土用」といい、夏の土用の丑の日を「土用の丑の日」と呼びます。
鰻は暑い時期に夏バテ防止のために食べると良いとされ、老若男女に親しまれている食べ物です。
夏場の売上を上げるため、学者の提案で「丑の日に鰻を食べると良い」というキャッチフレーズが使われ、現代でいうマーケティングが成功した例とされています。
<夏祭り・盆踊り> 7月から9月
盆踊りや縁日、お神輿やお囃子が楽しめる夏祭り。
夏祭りの多くは7月から9月の間に行われ、10月になると秋祭りと呼ばれます。
夏祭りは、台風や害虫が増える夏の時期に豊作の被害を防ぐために悪いものを追い払おうとしたことから始まったと言われています。
盆踊りは、ご先祖を供養するために皆で集まって踊る行事ですが、帰省した人々が旧友や近所の方々との交流を深める場でもあります。
江戸時代には男女の出会いの場でもあったそうです。
<お盆>
地域によって異なりますが、8月13日から8月16日までの4日間が基本です。
お盆は、ご先祖の霊を供養し、冥福を祈る行事や期間です。
この時期には日頃会えない兄弟や家族が集まり、家族全員でお墓参りをして亡くなった方を偲びます。
賑やかで忙しいことから、「盆と正月が一緒にきたようだ」と言われるように、日本ではお正月同様にお盆も大切な行事です。
おじいちゃんやおばあちゃんから昔の話を聞ける良い機会でもあります。
秋の行事と習わし

<お月見> 9月30日あたりの満月の日
お月見は、美しい月を眺めながら秋の収穫に感謝する行事です。
旧暦の8月15日、「十五夜」は特に月が美しいとされており、中秋の名月と呼ばれています。
この夜には、月がよく見える場所に祭壇を作り、月見団子やススキ、秋の収穫物である芋などをお供えします。
お月見の文化は中国から伝わり、平安貴族が月見の宴で風雅を楽しむようになり、武士や町民にも広まりました。
お月見の日には、子どもや孫と一緒にお団子を食べながら「うさぎの歌」を歌い、美しい秋の月を楽しんでみましょう。
<敬老の日> 9月の第3月曜日
敬老の日は毎年9月の第3月曜日で、国民の祝日です。
この日は、おじいちゃんやおばあちゃんに贈り物をしたり、一緒に食事をしたりなど、家族で集まって過ごす機会でもあります。
子どもからはもちろん、孫からもお祝いされると、おじいちゃんやおばあちゃんも喜ばれるでしょう。
なお、敬老の日の対象年齢には特に決まりがないため、年齢で線引きすることはありませんが、仕事をリタイアした時や、孫が生まれて祖父母になった時などは、「おめでとう」の気持ちを込めてお祝いする良いタイミングとなるでしょう。
<秋のお彼岸・お墓参り> 秋分の日を中日とした前後3日間
秋のお彼岸の期間は、「秋分の日」を中日として、その前後3日間を指します。
お彼岸の時期は昼と夜の長さがほぼ同じになるため、この世とあの世の距離が近くなり、ご先祖様の思いが届きやすくなるとされています。
そのため、お墓に出向いて供養する風習が定着しました。
ご先祖様に感謝するという点では、お盆もお彼岸も共通していますが、お盆はこの世に帰ってくるご先祖の霊を迎える行事であるのに対し、お彼岸はご先祖のもとへお墓参りをして会いに行くという違いがあります。
<七五三> 11月15日の前後の土日祝日
七五三は、3歳の男女、5歳の男の子、7歳の女の子の成長と幸福を願って、11月15日頃に神社にお参りに行く行事です。
七五三のお宮参りには千歳飴が欠かせません。
紅白の長い棒の千歳飴には、子どもたちが長寿でありますようにという願いが込められています。
千歳飴の袋を手にして、着飾った子どもたちの姿は、成長を感じさせる微笑ましい光景です。
冬の行事と習わし

<冬至> 12月21日か22日 ※2024年の「冬至」:12月21日(土)
冬至は、一年で昼が最も短く、夜が最も長い日です。
天文学的には、太陽が最も南に位置する日とされています。
中国や日本では、冬至は太陽の力が最も弱まる時期であり、再び力が回復する境目と見なされています。
この日を境に運気が上昇すると信じられており、かぼちゃを食べたり、ゆず湯に入って身体を温めたりして、無病息災を願う風習があります。
<クリスマス> 12月25日
クリスマスは、キリスト誕生を祝う祭日です。
しかし、日本では宗教色が薄く、家族や友人が集まってごちそうやケーキを囲み、プレゼントを交換して和やかに過ごす日として定着しています。
街中のビルにはクリスマスツリーが飾られ、イルミネーションがロマンチックで華やかな雰囲気を盛り上げます。
子どもや孫と一緒にツリーの飾りつけをするのも楽しいひとときになるでしょう。
<大晦日> 12月31日
一年の最後の日である大晦日は、年神様を迎えるために、大掃除やおせち料理の準備で忙しい一日になります。
大晦日の風物詩といえば、除夜の鐘と年越し蕎麦です。
除夜の鐘は、人間の悩みや苦しみといった煩悩が108つあるとされ、それを取り除き、新年を清らかな心で迎えるために鐘をつく行事です。
年越し蕎麦を食べる習慣には諸説ありますが、「蕎麦のように細く長く生きる」という説がよく知られています。
今年一年を振り返りながら、家族そろって美味しい年越し蕎麦を食べ、神聖な除夜の鐘に耳を傾けて新年を迎えましょう。
<お正月> 1月1日~1月5日
お正月は、日本の伝統や文化を感じる特別な時期です。
新しい年を祝うだけでなく、年神様を自宅に迎え、家族全員で新年を喜び、五穀豊穣に感謝する行事でもあります。
また、年神様を迎える前にお参りをして心と体を清めることが「初詣」の始まりとされています。
そして、年神様にお供えするためにお餅や料理を用意したことが「おせち」の始まりです。
お雑煮は地域や家庭によってお餅の形や出汁の種類、具材が異なり、それが伝統として受け継がれています。
おせち料理は作るのに時間がかかるため、購入する家庭も増えていますが、子どもに手作りの過程を見せたり、手伝ってもらったりすることは貴重な体験になるでしょう。
また、1月7日には「七草粥」を食べてお正月の食事で弱った胃を休め、一年の健康を祈ります。
核家族化や共働きが増え、伝統的な行事を家族でゆっくり楽しむ機会が減っているかもしれませんが、ぜひお正月には家族で日本の文化を楽しんでください。
<節分> 2月3日
節分は「季節を分ける」という意味で、もともとは立春、立夏、立秋、立冬の前日を指していました。
しかし、今では立春の前日だけが「節分」として知られています。
この日は、病気や悪いことが起きないように願いを込めて、「福は内!鬼は外!」と言いながら豆まきをする日です。豆まきの後、年の分だけ豆を食べると病気にならないと言われています。
また、恵方巻きを吉方位に向いて丸ごとかぶりつくのは関西の習慣でしたが、最近では関東にも広まっています。
太巻きを食べるのには「福を巻き込む」という意味があり、切らずに食べるのは良い縁を切らないためだそうです。
まとめ
この記事では日本の年中行事について紹介しました。
これらの行事は、家族の絆を深め、季節の移り変わりや日本の伝統を子どもたちに伝える絶好の機会です。
年中行事を大切にし、家族で楽しむことは、日常生活に彩りを与え、次世代に文化を継承する大切な役割を果たしています。
これからも季節の変化や日本の美しい風景を楽しみながら、家族みんなで大切に受け継いでいきませんか。
監修者

谷口 順彦
特定非営利活動法人日本統合医学協会理事
総合学園JOTアカデミー理事長
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