介護とは、加齢や病気により日常生活が困難になった方が、安心して自分らしい生活を送れるよう支援するサービスです。
家事や食事、排泄、入浴などのサポートを通じ、本人の尊厳を守りながら、自立を促すことが目的です。
この記事では、介護が必要になる一般的なきっかけや、家族での話し合いの大切さ、具体的な介護保険サービスの利用手続きまで、知っておくべきポイントを分かりやすく解説します。
早めに介護の準備を始めることは、介護生活を有意義なものにするために非常に大切です。
スムーズな支援が実現できる環境を整える準備を一緒に進めましょう。
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介護とは?

介護とは、加齢や病気などで日常生活が困難な方が、自分らしい生活を続けられるよう支援するためのサービスです。
家事や食事、歩行、排泄、入浴といった生活のあらゆる面でサポートを行い、身体的・精神的に尊厳のある自立した生活を送れるように支援することが介護の主たる目的となります。
たとえば、認知症の方や身体機能が低下した方ができるだけ自分で身の回りのことをこなせるようにするには、日常生活の補助や環境整備が重要です。
介護は単なる身体的な支援だけでなく、精神的なケアも含まれており、利用者の気持ちを尊重しながら対応することが大切です。
家族や介護者が協力して支援に取り組むことで、本人が「自分らしく生きる」ことを支えるのが介護の役割です。
介護と介助と看護の違い

少子高齢化が叫ばれる昨今、ニュースやメディアでも「介護」という言葉を頻繁に目にするようになりました。
しかし、似たような言葉で「介助」や「看護」といったものもあります。
皆さんはこれらの言葉の意味の違いをご存知でしょうか。
介護・介助・看護はそれぞれ異なる役割を持つ支援です。
目的や対応範囲が異なるため、ひとつずつ見ていきましょう。
介護と介助の違い
介護と介助は似ていますが、サポート形態が異なります。
介護は、日常生活に支障をきたす高齢者や障がいのある方の生活全般を支援し、その人が自分らしく生活できるよう環境を整え、意思を尊重して支援する包括的なサポートです。
一方、介助は、具体的な動作や行動を支援するもので、排泄介助や食事介助など、特定の行為に対するサポートを指します。
つまり、介助は介護の一部として必要に応じて行われるサポートです。たとえば、食事や入浴といった生活行為の一つひとつに介助が求められる場面があるため、これらのサポートが介護の範囲内で行われます。
介護全体を理解し、個別の介助が適切に行われることで、利用者が安心して生活できる支援が成り立つのです。
介護と看護の違い
介護と看護も異なる目的と役割を担っています。
看護は、病気やけがの治療・療養をサポートし、健康回復を目指すものです。看護師などの仕事がこれに該当し、実施するためには一定の国家資格が求められます。医療行為を含むため、専門的な知識が必要なのです。
一方、介護は日常生活の支援を主とし、快適な生活の維持を目的としています。介護者は利用者の生活環境を整え、自立をサポートする役割を担い、医療的な行為は含まれません。
例えば、食事や排泄、入浴などのサポートを通じて利用者の生活を支えることが介護の役割です。
介護は生活支援、看護は治療支援という位置づけの違いがあり、それぞれに応じた適切な支援が求められます。
3つの単語の意味の違いを理解することで、必要なサポートを見極める判断に役立つでしょう。
介護 | 介助 | 看護 | |
定義 | 日常生活に支障がある高齢者や障がい者の生活全般を支援する包括的なサポート | 特定の行為(例:排泄、食事、入浴)に対する支援 | 病気やけがの治療・療養を支援し、健康回復を目指す医療行為を含むサポート |
目的 | 利用者が自分らしく快適な生活を維持するための支援 | 特定の行為や動作を行うための補助 | 利用者の健康回復や治療のサポート |
主な活動内容 | 日常生活の支援、生活環境の整備 | 排泄介助、食事介助、移動介助など特定の行為に対する支援 | 健康観察、投薬管理、傷病の処置など医療行為 |
資格の有無 | ☓ | ☓ | ◯ |
介護をする上で心がけたい3つのこと
介護生活を有意義なものにするためには、利用者の尊厳を守りつつ、介護者自身も負担を軽減しながら支援を行うことが重要です。
ここでは、介護をするうえで特に心がけたいポイントを3つ紹介します。
- 利用者の尊厳を守り、寄り添う姿勢
- 観察力・洞察力を持つこと
- 前向きな姿勢と向上心を持つこと
ひとつずつ見ていきましょう。
ポイント①:利用者の尊厳を守り、寄り添う姿勢
介護の基本姿勢として、利用者の尊厳を大切にし、個性や生活スタイルを尊重することが大切です。
利用者が自分らしい生活を維持できるよう、気持ちに寄り添いながらサポートしましょう。
意思疎通が難しい場合でも、表情や仕草から思いをくみ取り、安心して生活できる環境を整えることが求められます。
また、介助を行う際は「事前に声をかけてから始める」ことを意識してみてください。それだけで相手に安心感を与え、信頼関係を築くことができます。
さらに、できることはなるべく本人に任せ、残存能力を引き出すサポートを意識することも重要です。
あくまで主役は本人なので、そのサポートに徹する意識を持つことが、質の高い介護生活の実現には不可欠です。
ポイント②:観察力・洞察力を持つこと
介護において、利用者の様子や言動に目を配る観察力・洞察力は欠かせません。
なぜなら、利用者の表情や体調のわずかな変化を見逃さず、早めに気づくことで、適切な対応が可能になるからです。
特に「非言語的なコミュニケーション」の観察力があると、かなりスムーズに介護ができます。非言語コミュニケーションとはジェスチャーや視線などの言葉以外の情報伝達のことです。
例えば、食欲の低下や顔色の変化など、普段とは異なるサインが見られた場合は、他の介護者と情報を共有し、家族間で対応を検討することが大切です。
また、利用者が安全で快適に生活できるよう、室内の環境整備や転倒リスクの管理なども意識して行い、全体的なケアをサポートしてください。
ポイント③:前向きな姿勢と向上心を持つこと
介護をするうえで、前向きな姿勢と向上心は非常に大切です。
なぜなら、介護生活をしていると、挫折してしまいそうになる経験も少なくないからです。
例えば、家族の介護をしていると、利用者から時に厳しい言葉がかけられることもあります。
しかし、そこですべてを投げ出したりすることは避けてください。
そのような言動の裏側には、利用者の不安や痛みが隠されている場合が多いからです。
そのため、介護者はその裏側にある気持ちに共感し、利用者の気持ちを理解しながら接する姿勢が求められます。
また、介護における知識や技術は日々進歩しています。
そのため、常に「利用者がより快適に生活できるためのサポートはないか?」を考える姿勢が大切です。
介護はいつ・誰がするもの?

そんな介護はいつ・誰がするものなのでしょうか。
例えば、親の介護が必要になった場合は誰が介護することになっているのでしょうか。
結論からお伝えすると、介護は家族や配偶者がすることが一般的でした。
しかし、家族のあり方が数十年前と今では大きく異なり、介護に対する考え方も常に変化しています。
現代社会では核家族化や共働きの増加により、家族だけでの介護は難しくなってきています。
「老老介護」や「ヤングケアラー」といった介護に関する課題を聞かれたことのある方も多いのではないでしょうか。
そのため、専門の介護サービスや地域の支援を活用することが推奨されています。
早めに介護の話し合いや準備を行うことで、介護が必要になった際の負担を減らし、家族全員で協力しやすい環境を整えることが大切です。
とは言え、ここでは一般的な「介護の始まるきっかけ」と「親の介護は誰がするのか」という2点について解説します。
介護のきっかけは「病気」や「けが」が多い
介護が必要になるきっかけとして最も多いのは、加齢に伴う体力低下や慢性疾患の悪化、さらに「病気」や「けが」です。
特に、認知症や脳卒中などの脳血管疾患、転倒による骨折などが代表例として挙げられます。
これらの疾患やけがは突然発症することも多く、家族にとっては不意に介護が始まるケースも少なくありません。
多くの場合、介護が必要になるのは徐々に進行するものの、家族が気づいたときには既に支援が必要な状態になっていることが多いです。
しかし、急激に容態・環境が変化することは誰しも考えられます。そのため、介護の必要性を事前に家族間で認識し、早めに話し合いや準備を進めておくことは非常に重要です。
スムーズに介護を開始できる体制を整えておくことで、家族で笑って楽しく過ごせる介護生活を送れるでしょう。
親の介護は誰がする?
では、親の介護は誰がすることになっているのでしょうか。
家族の構成や事情によっても異なりますが、一般的には子どもや配偶者がその役割を引き受けることが多いです。
しかし、これはあくまで一般論であり、特定の家族が介護の中心となるケースも少なくありません。
しかし、特定の人にだけ負担が集中するような介護は長続きしません。そのため、全員で役割分担を話し合い、負担が偏らないようにすることが重要です。
また、家族だけで介護を抱え込まず、介護保険サービスや地域の支援を上手に活用することもおすすめします。
地域の介護サービスや訪問看護など、さまざまなサポートを積極的に活用することで、介護の質も向上し、家族の負担も軽減できるでしょう。
また、介護中には親の意思や希望を尊重し、生活スタイルや価値観に寄り添った対応を心がけることが大切です。
親の尊厳を守りながら支援を行うことで、親子関係の良好な維持にも結びつきます。

「介護の三原則」とは?

介護業界では「介護の三原則」という言葉がよく聞かれます。
介護の三原則は、1982年にデンマークのベント・ロル・アナセン氏が提唱した、介護における重要な理念です。
この原則は、利用者一人ひとりの尊厳と自立を尊重し、豊かで自分らしい生活を支援することを目的としています。
現在では、日本を含む多くの国の介護現場で取り入れられており、介護者にとっても重要な指針となっています。
ここでは「生活の継続性」「自己決定の尊重」「残存能力の活用」という三原則について具体的に解説します。
原則①:生活の継続性
「生活の継続性」とは、利用者がそれまでの生活習慣や価値観を尊重し、安心して生活できるよう環境を整えることを指します。
なぜなら、高齢者や認知症の方にとって、生活環境の急激な変化は大きなストレスとなり、症状の悪化を引き起こす場合があるからです。
例えば、自宅での介護を希望する場合には、在宅サービスを利用して生活を支援し、可能な限り今までと同じ環境で生活できるように工夫しましょう。
施設での介護を必要とする場合も、利用者がこれまでの生活習慣や趣味を維持できるよう配慮することが大切です。
こうした配慮によって、利用者が安心感を持って日常を過ごせるだけでなく、精神的な安定が得られます。
原則②:自己決定の尊重
「自己決定の尊重」とは、利用者が自らの意思で生活の選択を行い、その選択が尊重されることです。
利用者は、高齢であっても自分の人生に対する決定権を持っています。
例えば、衣服や食事の選択、日中の活動内容などについても、できる限り本人の意思を確認し、選択肢を提示することが大切です。
介護はすべての行動を代わりにすることではありません。本人の意思を尊重し、それを実現する”サポートをする”のが介護です。
利用者が尊厳を保ちながら自分らしく生活するためにも、介護者は常に利用者の意思を尊重する姿勢を持つことが求められます。
原則③:残存能力の活用
「残存能力の活用」とは、利用者が現在持っている力を最大限に活かし、自立した生活を続けられるよう支援することを指します。
例えば、食事や身の回りのことがある程度自分でできる場合は、その部分は本人に任せ、必要に応じて最小限のサポートを行うことが理想です。
こうした支援によって、利用者の身体機能の維持や自信の向上が促され、介護者への依存度も軽減されます。
また、残存能力の活用を意識することで、利用者が「できることがある」という自信を持ち、自立心も高まるため、介護の質が向上します。
このアプローチは、利用者の心身の健康維持だけでなく、介護の負担軽減にもつながる重要な原則なのです。
介護保険サービスを受けるまでの流れ
ここまで読んで、家族の介護は簡単ではないと感じられた方もいると思います。
でも、心配する必要はありません。
介護保険サービスを利用することで、家族内での介護の負担を軽減できます。
ここでは、介護保険サービスを受けるまでの基本的な流れを解説します。
- 要介護認定の申請
- 認定調査
- 認定
- ケアプランの作成
- サービス利用の開始
①要介護認定の申請
介護保険サービスを利用するには、住んでいる市区町村の窓口で「要介護認定」の申請を行う必要があります。
申請時に必要なものは以下の通りです。
- 被保険者証:介護保険証または健康保険証。
- 申請書:市区町村の窓口で入手可能。
申請後、市区町村が調査を行い、要介護度を判定します。
申請は、介護が必要な本人またはその家族が手続きを行います。
②認定調査
要介護認定の申請が受理されると、市区町村の担当者が自宅や施設を訪問し、生活状況や身体の状態を調査します。
調査内容は主に以下の点に基づいて行われます。
- 身体機能:立つ、歩くなどの能力
- 認知機能:記憶力や判断力
- 日常生活の活動:食事、入浴、排泄の自立度
この調査結果と主治医意見書をもとに、どの程度の介護が必要かが判断されます。
③認定
調査結果と医師の意見書をもとに、介護認定審査会で要介護度(要支援1~2、要介護1~5)を判定します。
- 要支援1~2:軽度の介護が必要。主に介護予防を目的としたサービスを利用できます。
- 要介護1~5:介護の必要度が高いほど大きな数字となり、より多くのサービスが利用可能です。
認定結果が出るまでに、通常1か月程度かかると言われています。
また、要介護認定において「非該当」と認定された方でも、市区町村が行っている地域支援事業を活用することは可能です。
お住まいの市区町村又は地域包括支援センターにご相談下さい。
④ケアプランの作成
要介護または要支援の認定を受けたら、具体的にどのようなサービスを受けるかを決めるため、ケアプランを作成します。
ケアプランの作成はケアマネジャー(介護支援専門員)が以下の流れで支援してくれます。
- 相談・ヒアリング:本人や家族の希望を聞き取り、必要なサービスを一緒に検討します。
- プラン作成:通所介護(デイサービス)、訪問介護、福祉用具のレンタルなど、本人の状況に合わせたプランを作成します。
- 事業者の手配:サービス提供事業者との連絡調整もケアマネジャーが代行して行います。
⑤サービスの利用開始
ケアプランに基づき、サービス提供事業者が選定され、介護サービスが開始されます。
初めての場合でも、ケアマネージャーや地域包括支援センターのスタッフがしっかりとサポートしてくれるので安心です。

介護保険サービスの注意点
介護保険サービスは便利ですが、注意点もあります。
- 費用負担:原則として、サービス利用料の1割~3割を自己負担します。収入や資産に応じて異なるため、詳細は各市区町村で確認が必要です。
- 定期的な見直し:要介護度は定期的に更新されます。状態の変化に応じて認定内容が変更されることがあります。
親や家族の介護を通して、全員が幸せな家族生活を実現しよう
介護とは、利用者が尊厳を保ちながら、自分らしい生活を維持できるよう支援する重要な役割を持つサービスです。
高齢や病気、けがなどが原因で生活が困難になった場合、家族や専門の介護者が協力し、心のこもった支援を提供することが求められます。
また、介護を行ううえでは「生活の継続性」「自己決定の尊重」「残存能力の活用」といった基本的な原則を理解し、日々のケアに活かすことが大切です。
しかし、介護は介護者だけがしんどいものではありません。
利用者と一緒に努力する必要があります。
介護保険サービスの活用を検討することで、家族の負担を減らすことも可能です。
介護に関わるすべての人が幸せになれるような、介護生活の実現を目指してみてください。
監修者

太田 寛之
社会福祉士
一障がい児・障がい者相談支援センター 所長
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「人生100年時代」を生きる、支えるための生活習慣・介護・社会とのかかわり方など、健康面以外の知識も含め、総括的に学べます。
介護士などの福祉関係者や看護師などの医療従事者の方など、高齢者とのかかわりの多い方に多く受講されています。
合格者は非営利活動法人日本統合医学協会のセンテナリアンアドバイザー資格が認定されます。
学んですぐに実践できるセンテナリアンの食事の基本の軸を学び、日々の食事の見直すことで、①料理時間の短縮②栄養のバランスが取れる③食材・食費の無駄が減るといったことが目指せます。
また、季節ごとの具体的な献立もご紹介。学んですぐに実践いただけます。
足裏と手のリフレクソロジーの技術を学びます。また、相乗効果が期待されるアロマセラピーの知識も合わせて学べます。資格取得後は学んだ技術や知識を、自分自身はもちろんのこと、周りの人のセルフメディケーションの手助けとして役立てることができます。