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アンガーマネジメントとは?アンガーマネジメントの基本と実践するメリット

アンガーマネジメントとは「怒り」という感情をコントロールする手法のことです。

始まりは、1970年代にアメリカで開発された、怒りの感情と上手につき合うための精神療法です。

わかりやすく実践しやすい手法のため、次第に一般に広まっていきました。

老若男女問わず、誰でも気軽に取り組め、怒りを感じる場面で実践することで、怒りに振り回されず、自分の感情を適切にコントロールできるようになります。

この記事では、アンガーマネジメントの基本テクニックとアンガーマネジメントを実践するメリットを中心に解説します。

丸山 直樹

皆さまは「アンガーマネジメント」についてご存じでしょうか。
アンガーマネジメントと聞くと怒らないようにすると思われがちですが、実は上手に怒ることも大切なのです。
この記事でアンガーマネジメントについて知り、日常生活に取り込んでみましょう。

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アンガーコントロールインストラクター

心理学やカウンセリングの基礎から、アンガーコントロールの実践的な手法までを体系的に学び、職場や家庭、人間関係での良好なコミュニケーションと自制力を身につけることができます。
オンラインで学べるため、忙しい方でも自分のペースで進められるこの資格は、セルフメディケーションの一環として、健康的な生活習慣をサポートします。

アドラー心理学検定


「人間の悩みはすべて対人関係である」
アドラーの言う「勇気」の3要素(①リスクを引き受ける能力 ②困難を克服する努力 ③協力できる能力の一部)の中身を知り、自らはもちろん周りの人も勇気づけられる物事の捉え方や考え方を身につけ、他者の行動の受け止め方や言葉がけの方法を実践的に学びます。

アートセラピー資格


自分や他者の心理状態を絵や造形を通じて把握し、心の健康をサポートする知識とスキルを習得します。カリキュラムでは、風景構成画法やアートセラピーの効果を学び、心療内科などの医療機関や教育現場、カウンセリングにも活かせる内容です。資格取得後は、家族や身近な人への心のケア、ホームサロンの開業、企業カウンセリング室での支援など幅広い分野での活躍が期待されます。

アンガーマネジメントが注目されています

アンガーマネジメントが今注目されている理由は、社会全体の価値観が変化していることが挙げられます。

海外では、人前で怒りをコントロールできない人は”幼稚な人”という烙印を押されてしまいます。

一方日本では、学校や会社でみんなの前で怒られることは残念ながらまだよくあることとなっています。

しかし、日本もグローバル化が進む中で現状を変える必要性が求められています。

働き方改革も進んでいく中、感情的に怒ることなく過ごせるアンガーマネジメントに注目が集まっているのです。

”怒り”とはどんなもの?

怒りとは、誰もが抱く当たり前の感情です。

例えば、以下のような場面に遭遇したとき、あなたはどのような感情を抱くでしょうか。

あなたが電車に乗っていると、幼稚園児らしき子どもが電車に乗ってきました。

その子どもは「わーい!でんしゃだ!」とはしゃいでいます。

母親に抱っこされて窓の外を見ると「うみだー!」と嬉しそうに声を上げました。

このような状況の時、あなたは

「電車の中ではしゃぐなんてマナーがなっていない。」

「一緒にいる母親が注意するべき。」

と思うでしょうか。

怒りについて考えるとき、この「〇〇するべき」という感情が鍵となります。

何かをするときに人は無意識に「〇〇するべき」と考え、それが感情の癖となり、それに当てはまらない場合に「怒り」となるのです。

アンガーマネジメントの基本テクニック4つ

アンガーマネジメントの基本テクニックを紹介します。

「6秒ルール」で乗り越える

怒りが生まれてから、6秒あれば理性が働くと言われています。

カッとなったらまずは「1,2,3…」とゆっくり数えてみてください。

数えている間に少しずつ気持ちが落ち着いてくるはずです。

6秒間ゆっくり深呼吸するのもいいでしょう。

その場から一旦離れる

怒りを感じた時に退室できる環境であれば、その場を去りましょう

スポーツでも、流れが悪くなったらタイムアウトを取るのを見たことがあると思います。

わずかな時間でもその場を離れると、冷静になり、流れを変えるきっかけになるのです。

怒りから意識をそらす

怒りを感じた時に退室できない環境の時におすすめなのが、怒りから意識をそらす方法です。

具体的には、目の前にある物や景色に目を向けるのです。

「机の上にペン立てがあるな。ペンは何本だろう。」

「窓の外に車が走ってる。白色の車だ。」

といった感じに、目の前にある無機質なものをひたすら観察するのです。

そうしているうちに、先にお伝えした「6秒」は過ぎていき、カッとなった気持ちが落ち着いてきます。

自分をほめる、なぐさめる

自分を落ち着かせる言葉をつぶやくこともアンガーマネジメントの一つです。

「大丈夫大丈夫」

「私はよく頑張っている」

イラっとする場面に出会ったら、このような言葉をつぶやきましょう。

自分をほめて盛り上げることにより、気持ちが落ち着いてきます。

アンガーマネジメントを実践するメリット4つ

アンガーマネジメントを実践するメリットを4つ紹介します。

心身が健康になる

怒りをコントロールできるようになると、ストレスが減り、心身が健康になります。

怒ることのデメリットとして、心の負担がまず頭に浮かぶ人が多いと思います。

もちろん心への影響もあるのですが、実際には、体への負担も大きいです。

誰かに強く怒りを感じ、ストレスで眠れなかった経験はありませんか?

怒りにより、不眠や動悸などの症状が起きているのです。

怒りは心にも体にも、大きな影響を与えています。

そのため、アンガーマネジメントを実践することにより、心身の健康が手に入るのです。

人間関係が良好になる

怒りをコントロールすることにより、人間関係は良好になります。

怒りに任せて放った一言で、人間関係が簡単に崩れるケースを見たことがありませんか?

怒りをコントロールできれば、たとえもめ事があったとしても、落ち着いて建設的な話し合いができます。

職場の同僚・友人・家族、どのコミュニティにいても、大切なことです。

アンガーマネジメントを実践することにより、人間関係は良好になるのです。

仕事や育児が楽になる

怒りをコントロールできるようになると、周りから敵が減り、仲間が増えていきます。

その結果、仕事や育児が楽になります。

いつ爆発するかわからない人のそばにいるより、落ち着いていて、何かあれば冷静に主張してくれる人と一緒にいたいですよね。

仕事や育児は一人ではできません。

アンガーマネジメントを実践すると、仲間が増えるため、仕事や育児が楽になるのです。

思考が柔軟になる

アンガーマネジメントを学ぶと、思考が柔軟になります。

他人の価値観を認められるようになり、「人としての器」が大きくなっていくのです。

多様性を認め合うことが重要視されている昨今では、思考の柔軟さが求められています。

アンガーマネジメントを実践することにより、現代に求められている人物像に近づけるのです。

あなたはどのタイプ?怒りのタイプ診断

自分の怒りのタイプを知ることは、アンガーマネジメントの大切な一歩です。

公明正⼤タイプ

正義の人。信念を貫けるタイプです。

道徳を重んじる高い理想の持ち主で、物事を秩序づけ、規則正しいルールを実直に守ります。

イラっとしたら、あなたが介入できることなのか・できないことなのか、との視点で考えてみましょう。

特殊な職業でない限り、私たちが他人を罰することはできません。

博学多才タイプ

何事もきっちりさせたい、完璧主義者なタイプです。

敵・味方、良い・悪いなど、好き嫌いはハッキリしているものの、一定の距離を保った節度あるつき合いをする傾向があります。

物事を二つに分けて考えるのではなく「こういう見方もできるかも」と別の視点を持つと良いでしょう。

威風堂々タイプ

自他ともに認めるリーダータイプです。

プライドが高く、自分を信じて前向きに進む力がある人です。他人からの評判を気にしすぎる傾向があります。

他人が高く評価されたからといって、ネガティブに受け取らないことが大切です。

また、相手へ何かを要求するときは、本当に相手はそれをする「義務」があるのか考えてみましょう。

外柔内剛タイプ 

柔らかい雰囲気を持つ一方、うちには強いものを秘めた人。

自分で決めたルールがあり、相手を自分の型にはめ込もうとする頑固さが特徴です。

怒りを感じたら、それは独りよがりな考えではないかチェックしましょう。

用⼼堅固タイプ

誰とでも仲良く、また誰とも親しくない八方美人タイプ。

周囲の人との衝突を避ける賢さと用心深さが特徴です。

人間関係に悩んだら、相手をよく理解しようと努力し、自分自身も相手に理解してもらうことを心がけましょう。

天真爛漫タイプ

思ったことを、思った通りに発言して行動するタイプ。

話すことが得意で、強いリーダーシップを発揮することができます。

自分が思う通りにならない相手にイラっとしたら「十人十色」という言葉を思い出してください。

自分と違う人がいるのは自然なことなのです。

参考:安藤俊介(2016)『自分の「怒り」タイプを知ってコントロールする はじめての「アンガーマネジメント」実践ブック』株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン

アンガーマネジメントを生活習慣の一部に

アンガーマネジメントを生活習慣に取り入れ、イライラしない時間を増やしていきましょう。

「怒りの記録」をつける

イライラしたら、記録をつけましょう。

可能な限り、怒りを感じたその場で書き留めます。

メモ帳、日記アプリなど、媒体は何でもOKです。

「どのようなことに、どの程度」イライラしたかを書き、1週間くらい経って気持ちが落ち着いたときに、ゆっくりと振り返ります。

そうすることで、客観的に怒りを振り返ることができます。

「幸せの記録」をつける

幸せを感じた時も記録をしていきましょう。

普段怒りを感じやすい人ほど、自分の状況を理不尽に感じているため、幸せを見逃しています。

幸せの記録をつけることで、幸せを自覚でき「自分の人生は嫌なことばかりではない」とストレスは減っていきます。

合わない人とは距離をおく

合わない人とは距離を置くことで、イライラの原因を減らしましょう。

誰にでも合う・合わないはあります。

仕事のため、子どものため、家族だから、と今まで無理してつき合っている人はいませんか?

どうしても距離を置けない関係の人とは、あまり深入りせず、必要最低限の付き合いにするなど工夫をしてみましょう。

「〇〇べき」思考を減らす

理想が高すぎると、怒りを感じやすくなります。

人はいつも理想の状態とは限りません。

また、自分と相手の価値観が同じとも限りません。

ルールにとらわれすぎず、肩の力を抜いて過ごしましょう。

人に見返りを求めない

人に見返りを求めないことも、大切な習慣です。

相手に怒りを感じるとき「〇〇してくれると思ったのに」と心の奥底では思っていませんか?

人は知らず知らずのうちに相手に期待をしてしまうことがあります。

それが叶わなかったとき、怒りを感じる原因になってしまうのです。

相手に見返りを求めたり、過度な期待はしないことが大切です。

上手に怒ることもアンガーマネジメント

実は、上手に怒ることもアンガーマネジメントの大切なポイントです。

これまで、怒りをやわらげる方法をお伝えしてきましたが、怒ること自体はタブーではありません。

大切なのは「上手に怒る」こと。

上手に怒るポイントを紹介します。

ブレない軸を決める

怒るルールに一貫性を持たせましょう。

あるときには怒られる、あるときには怒られない、と態度がブレてしまうと「自分の機嫌で怒る人」と思われ信頼されません。

自分の中でこれはゆずれないというルールを決め、それ以外の部分では大目にみましょう。

そうすることで、親しみを持ってもらいやすくなり、最も大切なことを守ってもらえる効果もあります。

リクエストは具体的に伝える

怒りをぶつけるのではなく、リクエストは具体的に伝えましょう

例えば、相手がいつも同じ間違いをしたとき、つい「あなたっていつもそうだよね。」と言いたくなってしまうかもしれません。

しかし、それでは相手は何を直せばいいのかわかりませんし、傷つきます。

そのため「ここはこういう風にしてほしいな。」と具体的に伝えると良いです。

リクエストはシンプルに具体的に伝えると、お互い気持ちよく過ごせます。

「私」を主語にして伝える

「私」を主語にすると、相手は受け入れやすくなります。

例えば、夫が毎日飲み会で夜遅くになっても帰って来ないというシチュエーション。

「あなたばっかり飲み会行って!信じられない!」と言いたくなりますよね。

これを「私」を主語に変えてみるとこうなります。

「(私は)この頃子育てで疲れてるのよね。(私は)もう少し手伝ってほしいな。」

頭ごなしに言われるより、柔らかい表現になりましたね。

問題解決への会話にもつながりますので、ぜひお試しください。

落ち着いて、ゆっくり話す

怒るときは、落ち着いてゆっくり話すと聞いてもらいやすいです。

怒りで興奮していると、つい早口になりがちです。

一旦深呼吸し、落ち着いた低めの声でゆっくり話すことを心がけてください。

日常生活の中のアンガーマネジメントに軸を持つことをおすすめします

年齢を重ねることで、今までできていたことができなくなり、自分や他人に苛立つことも出てくるかもしれません。

怒りをマネジメントすることで、焦りや苛立ちから解放され、より精神的に健康な日々が送れるでしょう。

アドラー心理学検定1級講座などの講座受講・認定を受けることで、よりご自身のアンガーマネジメントに軸を持って日々生活を送れることでしょう。


丸山直樹

丸山 直樹

日本統合医学協会認定メンタルセラピスト
一般社団法人 日本発達障がい支援基金理事

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アンガーコントロールインストラクター

心理学やカウンセリングの基礎から、アンガーコントロールの実践的な手法までを体系的に学び、職場や家庭、人間関係での良好なコミュニケーションと自制力を身につけることができます。
オンラインで学べるため、忙しい方でも自分のペースで進められるこの資格は、セルフメディケーションの一環として、健康的な生活習慣をサポートします。

アドラー心理学検定


「人間の悩みはすべて対人関係である」
アドラーの言う「勇気」の3要素(①リスクを引き受ける能力 ②困難を克服する努力 ③協力できる能力の一部)の中身を知り、自らはもちろん周りの人も勇気づけられる物事の捉え方や考え方を身につけ、他者の行動の受け止め方や言葉がけの方法を実践的に学びます。

アートセラピー資格


自分や他者の心理状態を絵や造形を通じて把握し、心の健康をサポートする知識とスキルを習得します。カリキュラムでは、風景構成画法やアートセラピーの効果を学び、心療内科などの医療機関や教育現場、カウンセリングにも活かせる内容です。資格取得後は、家族や身近な人への心のケア、ホームサロンの開業、企業カウンセリング室での支援など幅広い分野での活躍が期待されます。