薬膳とは、漢方の考え方を元に食材を組み合わせて作る料理です。
心身の健康を保つための料理でもあり、特別な食材でなくとも、スーパーで売っている一般の食材で十分作れます。
体調や季節を考えて、日常の食材を漢方の考え方で組み合わせた料理が薬膳です。
薬膳は健康に長生きするための食事で、中国の王朝では、一番位が高い医者は食事で病気に対応する「食医」(しょくい)でした。
不老長寿を目指した皇帝は多いので、そんな皇帝のために食医たちが編み出した薬膳は、健康長寿に役立ちます。
この記事ではそんな薬膳について解説します。
薬膳の考え方は難しそうに思うかもしれません。
しかし、一度覚えると日常の食生活にも取り入れやすく、体調を整えることにも役立ちます。
この記事で薬膳について少しでも知っていただけたら嬉しく思います。
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薬膳はどう健康に役に立つ?

薬膳は心身の健康を保つのに役立ちます。
薬膳は、不調を治すためだけでなく、不調を予防するという考えが強い料理です。
また、薬膳は未病(みびょう)にも対応できます。
未病とは、検査などではっきりした原因はないけれどなんとなく調子が悪いという、病気未満・健康以下の状態です。
薬膳は、治療だけでなく予防により健康の役に立つのです。
薬膳の考え:五臓
五臓とは、体の機能を5つに分類した考え方です。
内臓と同じ漢字を使っていますが、内臓そのものとは異なる概念です。
五臓それぞれの不調に対応する食材があり、それを組み合わせて薬膳とします。
肝(かん)
自律神経・情緒・血を貯める機能を司ります。
不調だと、イライラ・落ち込み・お腹の張り・爪の弱り・筋肉のひきつりなどが出ます。
心(しん)
血の循環と意識を司ります。
不調だと、動悸・不安・不眠・忘れやすさ・顔色の悪さなどが出ます。
脾(ひ)
消化吸収と、内臓を上に持ち上げる作用を司ります。
不調だと、食欲不振・疲労・だるさ・むくみ・内臓下垂などが出ます。
肺(はい)
呼吸と体の水の巡りを司ります。
不調だと、呼吸困難・気管支疾患・せき・風邪を引きやすくなる・鼻水・鼻詰まり・むくみなどが出ます。
腎(じん)
成長・生殖力・尿の生成を司ります。
不調だと、老化・発育不全・不妊・精力減退・忘れやすさ・腰痛・尿の出にくさ・頻尿などが出ます。
健康長寿のために特に重視しなければならない五臓です。
薬膳の考え:五味

五味とは、食材の効能を味の名前で分類したものです。
五味それぞれが五臓と対応します。
味の名前で食材の効能を分類したものなので、食材を舌で味わった時の味そのものとは異なる場合があります。
酸味
肝に働きかける味です。体を引き締め、止血したり咳を止めたりする作用があります。
多くの果物・柑橘類・トマト・酢などが代表的な酸味の食材です。
苦味
心に働きかける味です。
体の熱を取ったり、利尿したり、解毒したりの作用があります。
アロエ・ゴーヤ・山菜・セロリ・よもぎ・烏龍茶・紅茶・緑茶・コーヒーなどが代表的な苦味の食材です。
甘味
脾に働きかける味です。体のエネルギーを補い、けいれんやひきつりを和らげる作用があります。
また、胃腸を元気にします。
穀類・イモ類・多くの豆類・キャベツ・ブロッコリー・多くのきのこ類・多くの肉類・多くの魚介類などが代表的な甘みの食べ物です。
辛味
肺に働きかける味です。
体の巡りをよくして体にとって悪いもの(寒さや余計な水分など)を散らします。
体を温めたり血の巡りをよくしたりする場合もあります。
香味野菜・スパイス・ピーマン・ししとうがらしなどが代表的な辛味の食べ物です。

鹹味(かんみ)
腎に対応する味です。
しこりや便を柔らかくする作用があります。
鹹味は塩味という意味ですが、鹹味に分類される食材は塩味というよりミネラル分豊富な食材が多いです。
明日葉・干しシイタケ・イカ・貝類・エビ・アジ・イワシ・タコ・たら・多くの海藻類・鴨肉・豚肉などが代表的な鹹味の食べ物です。
薬膳の考え:五性 (ごせい)
体を温める食材・冷やす食材・寒熱のかたよりがない食材について、5つに分けたのが五性です。
体調や季節により、食材の寒熱を使い分けます。
冷え性の人は体を温める食材、暑がりの人は体を冷やす食材と使い分けましょう。
また、夏は体を冷やす食材、冬は体を温める食材、と使い分けましょう。
熱
体を強力に温める食材です。
強力なのでとりすぎには注意すべきです。
代表的な熱の食材は、唐辛子・こしょう・花椒・シナモン・ウイスキー・焼酎などです。
温
体をおだやかに温める食材です。
おだやかなので、熱の食材ほどとりすぎに注意しなくて大丈夫です。
代表的な温の食材は、多くの香味野菜・多くのスパイス・もち米・甘酒・かぶ・かぼちゃ・菜の花・きんかん・さくらんぼ・栗・桃・くり・青魚・鮭・エビ・鶏肉・味噌などです。
平
体を冷やしも温めもしない食材です。
日常的に多くとっても問題ない食材です。
代表的な平の食材は、うるち米・玄米・さつまいも・じゃがいも・大豆・キャベツ・ブロッコリー・ぶどう・イカ・牛肉・豚肉・卵・その他多くの食材です。
涼
体をおだやかに冷やす食材です。
おだやかなので、寒の食材ほどとりすぎに注意しなくても大丈夫です。
ただし、冷え性の人はあまりとりすぎるべきではありません。
どうしてもとりたい場合は温や熱の食材と共にとりましょう。
代表的な涼の食材は、オートミール・大麦・小麦・そば・アスパラガス・ごぼう・セロリ・だいこん・ほうれん草・もやし・みかんの果肉・わかめ・鴨肉・オリーブオイル・白砂糖・緑茶・烏龍茶などです。
寒
体を強力に冷やす食材です。
強力に冷やすので、とりすぎには注意すべきです。
冷え性の人は特に注意してください。
代表的な寒い食材は、こんにゃく・豆腐・明日葉・アロエ・きゅうり・空芯菜・ズッキーニ・たけのこ・ゴーヤ・緑豆もやし・生のれんこん・ナス・スイカ・メロン・バナナ・昆布・カニ・タコ・ひじき・寒天・牛タン・ビールなどです。
日常的な食材の五味五性

スーパーで売っている、よく使う食材について、五味五性を紹介します。
いくつかの食材は、複数の五味を持ちます。
先に書いてある五味がメインの効能の五味です。
普段の食事作りの参考にしてください。
穀類
うるち米(甘・平)、オートミール(甘・涼)、玄米(甘・平)、小麦(甘・涼)、そば(甘・涼)、もち米(甘・温)
イモ類
さつまいも(甘・平)、じゃがいも(甘・平)、里芋(甘辛・平)、こんにゃく(辛苦・寒)
野菜類
キャベツ(甘・平)、ねぎ(辛・温)、緑豆もやし(甘・寒)、トマト(甘酸・涼)、ピーマン(辛甘・平)、白菜(甘・平)、ナス(甘・寒)、大根(辛甘・涼)、玉ねぎ(甘辛・温)
魚介類 ・海藻類
アサリ(甘鹹・寒)、しじみ(甘鹹・寒)、あじ(甘鹹・温)、イカ(鹹・平)、イワシ(甘鹹・温)、エビ(甘鹹・温)、サバ(甘・温)、ブリ(甘酸・温)、まぐろ(甘・温)・わかめ(鹹・涼)、昆布(鹹・寒)、海苔(甘鹹・寒)、寒天(甘・寒)
肉類
鶏肉(甘・温)、牛肉(甘・平)、豚肉(甘鹹・平)、牛タン(甘・寒)羊肉(甘・温)、鶏卵(甘・平)、鴨肉(甘鹹・涼)、馬肉(辛苦・寒)、うずらの卵(甘・平)、鶏卵の白身(甘・涼)
乳製品
牛乳(甘・涼)、チーズ(甘酸・平)、ヨーグルト(甘酸・平)
飲料
甘酒(甘辛・温)、烏龍茶(苦甘・涼)、紅茶(苦甘・温)、緑茶(苦甘・涼)、コーヒー(苦・平)、ウイスキー(辛苦・熱)、焼酎(辛甘・熱)、ビール(苦辛・寒)、日本酒(甘辛苦・温)、ワイン(酸甘辛・温)
調味料
唐辛子(辛・熱)、山椒(辛・温)、花椒(辛・熱)、こしょう(辛・熱)、からし(辛・温)、シナモン(辛甘・熱)、醤油(鹹・寒)、塩(鹹・寒)、味噌(甘鹹・温)、酢(酸苦・温)
薬膳を日常に取り入れて健康長寿・センテナリアンを目指しましょう
健康長寿のための食事には、栄養素を考え・旬のものを食べる・三食きちんと食べるなど、気に掛けることがありますが、薬膳の知識を持つことで、よりバランスよい食事を摂ることができるでしょう。
スーパーに売っている身近な食物の効能については、薬膳検定でより深く知ることができます。
また、薬膳のレシピは、養生薬膳資格講座でも多数学ぶことができますので、本格的に日々の食事に取り入れていきたい方は、資格取得にチャレンジするのも良いかもしれません。
監修者

谷口 順彦
特定非営利活動法人日本統合医学協会理事
総合学園JOTアカデミー理事長
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