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世界5大長寿地域のひとつ、カリフォルニア州ロマ・リンダの謎

カリフォルニア州ロマ・リンダの謎

ナショナル・ジオグラフィックが健康で長寿な人たちが多く居住する「BLUE ZONE」として認定した5地域(イタリア・サルデーニャ島日本・沖縄、アメリカ合衆国・カリフォルニア州・ロマ・リンダ、コスタリカ・ニコヤ半島ギリシャ・イカリア島)のうち、ロマ・リンダは他の4つに見られない際立った特徴を持っています。

地理的環境やライフスタイルにおいて、他の4地域とロマ・リンダには共通点よりむしろ相違点の方が多いでしょう。

それではなぜロマ・リンダの住民は健康寿命を長く保てるのか、その要因を探ります。

谷口 順彦

この記事ではアメリカ・カリフォルニア州のロマリンダという地域について詳しく解説しています。

あまり長生きのイメージがないアメリカですが、なぜロマリンダでは長寿の方が多いのでしょうか。

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ロマ・リンダとはどんな土地?

ロマ・リンダは太平洋岸にあるロサンゼルスから東へ向かって100㎞ほどの位置にあります。

州間高速道路10号をほぼ1直線に車を走らせると、背後にサン・バーナディーノ山脈が迫った、ほぼ砂漠のような大陸的な景観が見えてくる地域です。

沖縄を含めて、他のBLUE ZONE 4地域はすべて「島」や「半島」であるという1点だけでも、ロマ・リンダの地理的な独自性は明らかです。

ロマ・リンダの公式ウェブサイトによると、現在の人口は約21,000人。

日本の標準で言えば、市より町と呼んでいいほどの小さな自治体です。

この狭い地域に住む人たちは全米平均と比較して平均寿命が5年から10年ほど長く、100歳以上の人口も多いとされています。

研究サンプルとしては小さすぎるのではないかと思えるほどですが、それでもこの地域に住む人たちの類まれな健康と長寿が世界中の研究者から注目を集めています。

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過酷な気象条件と自然環境

ロマ・リンダの特異性として、まずその過酷な気象条件と自然環境が挙げられます。

周辺の地域は砂漠気候に分類されます。とくに夏の数か月は非常に暑く、また雨がほとんど降りません。

具体的な数字を挙げます。

ロマ・リンダの月間平均最高気温(摂氏)は6月31度、7月35度、8月35度、9月33度と推移します。

そして、この4か月間合計の降水量はわずか21㎜です(データ元:WorldWeather.com)。

上の数字を沖縄と比較すると、ロマ・リンダがいかに暑く、そして乾燥しているかがはっきり分かります。

南国のイメージが強い沖縄県那覇市でも同時期の最高気温はロマ・リンダより3~5度程度低く、降水量に至っては約50倍にあたる988mmに達します(データ元:気象庁)。

このように高温で乾燥した天候から、ロマ・リンダを含むサン・バーナディーノ郡の大部分は砂漠のような荒涼とした大地が広がっています。

およそ人間の生存に優しい自然環境とはいえません。

さらに、この地域は深刻な大気汚染にも悩まされています。

全米でも有数の交通渋滞の大都市ロサンゼルスから運ばれたスモッグがこの辺りで滞留し、高温も伴ってさらに悪化するのです。

空気の状態が健康に悪影響を与える可能性がある、との警告が頻繁に出されています。

ロマ・リンダの歴史

ロマ・リンダのもうひとつの特異性はセブンスデー・アドベンチスト教会という存在とその歴史なしには語れません。

19世紀後半まで、この地域は農業中心の小さなコミュニティとささやかな観光産業があるのみでした。

しかし、1905年に同教会がホテルと周辺の土地を購入し、サナトリウムと看護学校からなる医療機関を建設したことが、現在に至るロマ・リンダの方向性を大きく決定づけました。

この医療機関は後にロマ・リンダ大学と名称を変更し、医学教育や研究の中心地として知られています。

いわば地域社会そのものが健康とウェルネスに重点を置いて発展してきたわけです。

現在もロマ・リンダ住民の多くはセブンスデー・アドベンチスト教会の信者です。

その教えに沿った独特のライフスタイルを守り続けている人たちが数多くいることが、ロマ・リンダの健康寿命を押し上げていると考えられています。

セブンスデー・アドベンチスト教会のライフスタイル

セブンスデー・アドベンチスト教会信者たちの独特なライフスタイルを、健康寿命に関係すると思われる側面から分析していくと、大きな3本の柱があると言われています。

菜食主義、週ごとの安息日、そして禁酒・禁煙の3つです。

菜食主義

セブンスデー・アドベンチスト教会の教えに従い、ロマ・リンダ住民の多くは菜食主義を実践しています。

より正確に述べるなら、教会が「清浄」であると認定した食物のみを口にします。

一般的に“Kosher foods”と分類され、ユダヤ教徒の食生活とほぼ一致します。

ちなみに、食生活の他にもセブンスデー・アドベンチスト教会の教えはユダヤ教と共通する点が多く、教会の公式ウェブサイトでは、そのことを以下のように表現しています。

「セブンスデー・アドベンチスト教会とユダヤ教は2つの異なる信仰グループですが、どちらも同じ重要な聖書の真理の多くを固く信じています。」

具体的には、彼らはある種の肉類を避けます。

”Red Meat” と呼ばれる、牛、豚、羊、山羊、鹿、バイソンといった4つ足の動物です。

鶏肉や魚類には食べてよい種類とそうでない種類があります。

ロマ・リンダ中心部には教会が経営するスーパーマーケットがあり、そこにはRed Meatが置いてありません。

マクドナルドのようなファストフードもありません。

つまり、アメリカ人でありながら、ハンバーガーもホットドッグも食べないのです。

代わりに野菜、果物、ナッツ、全粒穀物を中心とした食事を摂取します。

結果として、ヴィーガン、あるいはベジタリアンと呼ばれる人たちと似た食事法になります。

この食事法は、心臓病やがんのリスクを低減させる効果があることは多くの研究で証明されています。

菜食主義にはダイエット効果もあります。

従って、ロマ・リンダ住民の多くはアメリカの大きな社会問題である肥満とも無縁です。

肥満は生活習慣病の元凶とも言えますので、彼らの食生活が健康促進に繋がっていると言えるでしょう。

さらに、加工食品や砂糖の摂取を控える傾向もあり、これもまた健康を維持する要因だと考えられています。

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週1日の安息日

セブンスデー・アドベンチスト教会では金曜日の日没から土曜日の日没までの24時間、一切の仕事や世俗的な活動を禁止しています。

” Sabbath”と呼ばれ、ユダヤ教やイスラム教とも共通する教えです。

この安息日は日本の週末や祝日とは異なります。

すべての人が仕事を休むわけですので、前述したロマ・リンダ内のスーパーマーケットも金曜日は午後4時半に閉店し、土曜日は終日閉店します。

子どもたちは土曜日に行われる学校の部活動やスポーツ大会にも参加することはできません。

大人がゴルフやテニスをするなどは以ての外です。

彼らが安息日に許された活動は教会に行くことだけと言えるでしょう。

週に1日こうした時間を過ごすことは、もちろん身体的な面で貴重な休息を人々に与えます。

それだけではなく、精神的な健康を促進する効果も大きいと考えられています。

家族や友人との絆を深め、社会的なコミュニケーションに触れる機会にもなるからです。

孤独感や社会的孤立感が心身の健康に大きな悪影響を与えることはよく知られています。

禁酒・禁煙

セブンスデー・アドベンチスト教会は、アルコールとタバコの使用を禁止しています。

ロマ・リンダでお酒類やタバコを購入することは大変な困難が伴いますし、公共の場での喫煙は一切禁止されています。

言うまでもありませんが、飲酒と喫煙の2つは人々の健康を損ないます。タバコの害についてはもはや疑う余地はないでしょう。

アルコールについても、たとえ少量でも疾病リスクが高まることが最近分かってきました。

ロマ・リンダの住民がこの2つを遠ざけていることが、彼らの健康と長寿に貢献していることは明らかです。

少なくとも、早死にするリスクを軽減していることは間違いありません。

このことは、健康的な生活習慣が、どのような環境においても健康寿命を伸ばすために重要であることを示しています。

宗教とは離れても、ロマ・リンダ住民が実践するライフスタイルは一つの模範となるでしょう。

まとめ

カリフォルニア州ロマ・リンダは、アメリカにありながら住民は健康的な生活を送っています。

その秘訣は、セブンスデー・アドベンチスト教会の教えに基づく菜食主義、安息日の厳守、禁酒・禁煙といった独自のライフスタイルにあります。

禁酒や禁煙など、真似できそうな生活習慣から真似してみるのはいかがでしょうか?


谷口 順彦

特定非営利活動法人日本統合医学協会理事
総合学園JOTアカデミー理事長

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学んですぐに実践できるセンテナリアンの食事の基本の軸を学び、日々の食事の見直すことで、①料理時間の短縮②栄養のバランスが取れる③食材・食費の無駄が減るといったことが目指せます。
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