ナショナル・ジオグラフィックが健康で長寿な人たちが多く居住する「BLUE ZONE」として認定した5地域(イタリア・サルディーニャ島、日本・沖縄、アメリカ合衆国・カリフォルニア州・ロマ・リンダ、コスタリカ・ニコヤ半島、ギリシャ・イカリア島)のうち、ギリシャ・イカリア島にはどのような特徴があるのでしょうか。
この記事ではイカリア島の住民の長寿の秘訣について探ります。
イカリア島は、世界的に見ても長寿者が多いことで知られており、その人々の暮らしが注目されています。
まずは、イカリア島の地域の特徴と、一般的な人々の生活についてご紹介します。
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また、季節ごとの具体的な献立もご紹介。学んですぐに実践いただけます。
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そして、自分だけでなく、家族や友人にも、正しい眠り方や快眠の習慣化についてアドバイスできるようになることを目指します。
イカリア島とは

イカリア島は、ギリシャの離島であり、エーゲ海に囲まれた昔ながらの暮らしが残る地域です。
イカリア島はブルーゾーンの1つであり、住民の約3人に1人が90歳を超える、まさに長寿の島です。
約250平方キロメートル、石垣島よりも少し大きなこの島に、1万人ほどが暮らしています。
あまりに長生きする人が多いことから「死ぬことを忘れた人々が住む島」とも呼ばれています。
イカリア島は、もともと強風の影響を受けることが多い土地柄、自然の港はなく主要航路からも外れています。
そのため、自給自足の暮らしが根付いており、古くからの慣習が強く残る要因になっています。

イカリア島の長寿者は若く見える
イカリア島の長寿者たちは、単に長生きしている高齢者という姿ではなく、実際の年齢よりもとても若く見える人が多いと言います。
65歳以上の男性へのアンケートでは、80%以上もの人が性生活があると回答しており、バイタリティに溢れていることもうかがえます。
一般的に、認知症になるリスクは年を重ねるごとに増しますが、イカリア島では85歳以上の長寿者のうち認知症を患っているのはわずか10%です。
85才になるとアメリカ人の50%は認知症になると言われていますが、比較すると明らかに少ないことが分かります。
加えて、高血圧や心筋梗塞にかかる人の割合が少ないとも言われており、血管年齢が実年齢よりも若く保たれていることも若々しさを維持する要因になっていると考えられます。

イカリア島での暮らしの教訓・習慣
「ブルーゾーン」について研究をした冒険家ダン・ヴュイトナーとナショナルジオグラフィック誌のチームは、イカリア島での暮らしから長寿につながる7つの教訓があると発表しました。
イカリア島での長寿につながる7つの教訓
- ヤギのミルクを飲む
- よく歩く
- 食事は地中海料理が中心
- ハーブティーを飲む
- 昼寝をする
- たまに断食をする
- 家族や友人との時間を大事にする
運動や食生活については、長生きをする上で欠かせない要素だと多くの人が実感しているでしょう。
それに加えて、昼寝や断食、他者との関わりもまた、長寿をかなえる秘訣であることを、イカリア島の長寿者たちは体現しているのではないでしょうか。
特に長寿者の多い山地に暮らす人々は、いつも起伏のある道を往復し畑仕事をし、ガーデニングを楽しむなどして自然と体を動かします。
そして昼間には夜間の眠りを妨げない程度の短時間の昼寝をし、また午後の活動に精を出すのが習慣化しているようです。
昼寝には心臓病での死亡リスクを下げるという説もあることから、長寿の秘訣の1つと言えるでしょう。(出典:https://www.theguardian.com/science/2007/feb/13/medicineandhealth.uknews)
その他の長寿の秘訣
アテネ大学・第一心臓臨床医学研究所の主催の医学会議ではイカリア島では以下の要因が長寿につながっていると発表しています。
- 心臓の血管を増強しうつ病克服が期待できる食材の摂取
- (魚介類、果物、野菜、豆類、お茶など)
- 昼寝の習慣
- 日常的な運動
- 良好な交友関係
- 頻繁な近所付き合いと催事への参加
- 高い教育レベル
また、日本のテレビ番組でもイカリア島を特集したことがあり、その番組では以下の要因が長寿の秘密として紹介されました。
- ワイン(ポリフェノール)
ハチミツ(コリン、カリウム)
毎日の畑仕事
オリーブオイル(オレイン酸、ポリフェノール)
ギリシャコーヒー(ポリフェノール)
これらはブルーゾーン研究での調査結果と一部が一致していますが、どれも長寿の秘訣として大事な要因と考えられます。
孤立化した環境が長寿を守る可能性
最初に触れたように、イカリア島は整備された港がなく主要航路からも外れています。
そのため、観光客はほとんどおらず、ある意味孤立した環境ともいえます。
これは、ネガティブに捉えられるかもしれませんが、西欧化の影響を受けずに伝統が受け継がれることにもつながり、かえって健康に良い暮らしが守られているとも考えられます。
イカリア島での食生活が健康に与える影響

イカリア島の食生活は特徴的なものになっています。
ここからはイカリア島の食生活について詳しく解説します。
特徴的な地中海料理
イカリア島はその立地から、食生活は地中海料理がメインです。
しかし、一般的な地中海料理に比べると、肉や魚の量ははるかに少なく、自分で育てた野菜の消費量が多い傾向にあります。
特に、豆の消費量はアメリカ人の平均に比べると6倍にもなるようです。
したがって、地中海料理と言っても、口にする食材は決して豪華なものではありません。
よく用いられる食材は、野菜の他に果物、全粒穀物、豆、はちみつ、オリーブオイル、ヤギのミルクなどで、肉は週1回程度の消費にとどまっています。
オリーブオイルは不飽和脂肪酸が多く、ヤギミルクは消化に優れているなど、健康長寿を助ける食材が豊富です。
少ないカロリー摂取量
イカリア島の人々はカロリー摂取量が少ないというのも特徴です。
カロリー摂取量が少ない理由は野菜が多めの地中海料理だけでなく宗教的な理由もあります。
イカリア島の住民はギリシア正教徒ということもあり、1年のうち約半分は断食をしているのです。
そのため摂取カロリーは他のギリシャの島々の人に比べるとはるかに少ないのが特徴です。
あまり多くのカロリーを摂りすぎないことも、長寿につながる要因の1つかもしれません。
健康にいい飲み物
イカリア島ではギリシャコーヒーやヤギミルク、ハーブティー、ワインがよく飲まれています。
ハーブティーは抗酸化物質の豊富な野生の植物で作られており、ヤギミルクは消化に優れています。
また、ギリシャコーヒーやワインにはポリフェノールが豊富です。
ポリフェノールによる抗酸化作用は、活性酸素などを無害な物質に変え、生活習慣病の予防につながるとされています。
さらにハーブティーも高い抗酸化作用があり、健康を助けているとも考えられます。

家族と同じくらい友人も大切にする暮らし

イカリア島の住民は、友人も家族と同じくらい大切にします。
仕事が終わると、すぐに帰宅するのではなく、仲の良い友人とカフェで集まり語らうのが日課です。
こうした生活習慣のためか、カフェは夜遅くまで営業しているのが基本であり、仕事を終えた人々が共に気の合う人々と接することが日常茶飯事となっています。
もし、家族で何かしらの問題があった時も、それを友人に隠すことはしません。
家族で話し合った結果は、友人に報告をして共有するのが当たり前となっており、こうした価値観は孤立を防ぐことにもつながっています。
誰しもが、村の祭りやお祝い、教会での活動などに参加し、姿が見えなければ心配をされるほどです。
近所の人々や友人が家族同様に関わるという、距離の近さによって、一人で問題を抱え込まないコミュニティが成り立っています。
つまり、イカリア島の住民は、友人との距離が家族と同じくらい近く、人付き合いが非常にオープンに行われているようです。
ただ寿命が長いわけではなく健康体である秘訣
イカリア島には老人ホームもありますが、入居している人々は何らかの理由で家を失った人が中心となっています。
年を重ね、自分で自分の生活を営むことができなくなっても、家族や家があればずっと家族とともに暮らすのが一般的です。
高齢者の身内を独りにさせることは、イカリア島の若い人々にとって恥ずべきことであるという価値観が、年を重ねても平穏に暮らし続けることができるという安心感をもたらしているのだと考えられます。
まとめ
BLUE ZONEの1つ、ギリシャ・イカリア島での長寿の秘訣について紹介しました。
イカリア島の長寿者たちの暮らしを見ると、伝統的な食生活やアクティブな活動だけが長生きにつながるのではなく、精神的な安心感や満足感、生き甲斐も重要だと考えられます。
日本は世界的に見ても長寿の国として知られており、ブルーゾーンには沖縄も含まれていますが、イカリア島の長寿者たちの暮らしから学べる部分は多く、特に元気に長生きするヒントが得られるのではないでしょうか。
監修者

谷口 順彦
特定非営利活動法人日本統合医学協会理事
総合学園JOTアカデミー理事長
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