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ブルーゾーン(BLUE ZONE)の1つ沖縄から学ぶ健康長寿7つの秘訣

ブルーゾーン(BLUE ZONE)という言葉をご存じですか?

ブルーゾーンとは健康で長寿な人たちが多く居住する5地域(イタリア・サルデーニャ島、日本・沖縄、アメリカ合衆国・カリフォルニア州・ロマ・リンダコスタリカ・ニコヤ半島ギリシャ・イカリア島)のことを言います。

ブルーゾーンの1つである沖縄に住む高齢者は、地球上で最も長い平均余命を持ち、驚くほど活力に満ちた老後を楽しんでいます。

この記事ではそんな日本の沖縄の長寿の秘訣について解説します。

谷口 順彦

沖縄では、人口10万人あたり100歳以上の住民が68人もいるとされています。これは、アメリカの数値と比べて3倍以上の割合です。

なぜ沖縄はそれほど健康長寿の割合が多いのか見ていきましょう。

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沖縄はブルーゾーン(BLUE ZONE)の1つ

ブルーゾーンとは、世界で100歳以上の人々の割合が特に多い5つの長寿地域を指します。

日本の沖縄も、以下の通り、その中の一つに含まれています。

  1. サルデーニャ島(イタリア)
  2. ロマリンダ(アメリカ・カリフォルニア州)
  3. イカリア島(ギリシア)
  4. ニコヤ半島(コスタリカ)
  5. 沖縄(日本)

ブルーゾーンという概念が広まったのは2011年です。

ダン・ビュイトナー氏の著書『The BLUE ZONE 世界の100歳人に学ぶ健康と長寿の9つのルール』が世界的にヒットしたことが、そのきっかけでした。

さらに、動画配信サービスがブルーゾーンに関するドキュメンタリーを放送したことで、これらの地域に共通する長寿の秘訣を体験したいと考える富裕層が世界中から観光に訪れるようになりました。

そのため、観光庁も受け入れ体制の整備を支援しています。

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5大ブルーゾーンに見られる共通点とは

この5つの地域での生活には共通の特徴があり、以下の9つのルールで示されています。

  1. 適度な運動を続ける
  2. 腹八分で摂取カロリーを抑える
  3. 植物性食品を食べる
  4. 適度に赤ワインを飲む
  5. はっきりした目的意識を持つ
  6. 人生をスローダウンする
  7. 信仰心を持つ
  8. 家族を最優先にする
  9. 人とつながる

以上が世界の5大ブルーゾーンに見られる共通の特徴ですが、次の見出しでは沖縄に焦点を当て、具体的にどのような生活習慣があるのか詳しく見ていきましょう。

沖縄の100歳以上の長寿者に学ぶ健康長寿7つの秘訣

では、沖縄における健康長寿の秘訣を深堀していきましょう。

野菜中心の食生活

沖縄の高齢者は野菜を中心とした食生活を送っています。

サツマイモや野菜炒め、豆腐を中心とした食事は栄養が豊富で低カロリーです。

100歳を超える沖縄の人々は豚肉を食べることもありますが、伝統的には行事の際に少量を食べる程度です。魚は、週に3回ほど取り入れられています。

沖縄の伝統野菜である「島野菜」は、沖縄の食文化に欠かせない魅力的な存在です。

年間を通じて平均気温が20℃を超える温暖な気候と、ミネラルが豊富な土壌を活かし、沖縄ではさまざまな野菜が栽培されています。

島野菜の代表格といえば、チャンプルーに最適なゴーヤです。その他に、島らっきょう、ハンダマ、パパイヤ、紅イモなど、28種類あります。

ハンダマは古くから薬草として親しまれ、不老長寿の象徴ともされている葉物野菜です。

その美しい紫色の葉は栄養価が高く、各家庭の庭で育てられ、食卓に取り入れられてきました。

ビタミンAやB2、鉄分に加え、ポリフェノールも豊富で、風邪のひき始めや疲労時の民間療法としても活用されてきたスローフードです。

また、注目すべき点は、炭水化物の多い食生活です。

100歳を超える人々の食事は、サツマイモが67%、お米が12%、野菜が9%、豆が6% を占めており、炭水化物の割合がたんぱく質に比べてかなり高く、特にサツマイモが主なカロリー源となっています。

「最近、流行している高たんぱく・低炭水化物のダイエットとは対照的である」と、栄養と老化の研究を行うオーストラリア・シドニー大学のマンザ・ソロン・ビエット博士が指摘しています。

大豆の摂取量が多い

沖縄の料理は、豆腐や味噌汁など、大豆を使ったメニューが豊富です。

発酵した大豆食品は、腸内環境を整え、栄養の吸収を促進し、豆腐に含まれるフラボノイドは、心臓を守る働きがあり、乳がんの予防にも役立つことが期待されています。

世界の他のブルーゾーン地域でも、豆類は重要な食材です。

例えば、イカリア島ではレンズ豆、サルデーニャ島ではそら豆、ニコヤ半島では黒豆など、さまざまな豆が食べられています。

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薬草を食べる習慣がある

沖縄は「薬草の宝庫」と称されるほど多くの薬用植物が存在し、これらの薬草を日常的に食べていることも健康長寿の秘訣かもしれません。

薬草には抗酸化物質や抗がん成分が豊富に含まれています。

また、日光をたっぷり浴びた薬草は、緑が濃く、βカロテンやポリフェノールも多く含まれています。

ヨモギ、ショウガ、ウコンは沖縄の庭でよく見られ、いずれも薬効が証明されています。

長命草は沖縄の温暖な海辺に自生するセリ科の常緑多年草で、その名の通り「長寿につながる草」として、古くから料理や民間薬として重宝されてきました。

「一株食べれば一日長生きする」という言い伝えもあります。

畑仕事などで身体をよく動かす

沖縄の100歳以上の多くの人々は、自分の畑を育てています。

畑仕事は日常的に広範囲に身体を動かし、ストレスの軽減にも役立ちます。

特に沖縄の北部に住む人々の中には、プランターで花を育てたり、畑作業を続けたりしている人が非常に多いです。

また、沖縄の家庭では家具が少なく、椅子を使わずに床の畳に座って食事や休憩を取るため、一日に何度も立ち上がったり座ったりすることで、下半身の強さとバランスが鍛えられます

ブルーゾーンに関する書籍でも、高齢者がイスに座っている時間が長いアメリカと比較して、畳から立ち上がる動作が日常的に30回以上ある生活では、足腰の筋力に明らかな違いがある ことが指摘されています。

地域との関わりが強い

沖縄には「模合(もあい)」という伝統的な集まりがあり、そこでは強固な社会的ネットワークが形成されています。

模合は、気の合う仲間が毎月集まって飲み会を楽しんだり、おしゃべりしたりするだけでなく、共同で資金を積み立てて旅行やビジネスに利用するという、沖縄特有の文化的慣習です。

このような集まりは、友情を深めるだけでなく、地域の絆を強める重要な役割も果たしています。

沖縄の人々にとって、模合は生涯を通じてお互いを支え合うコミュニティであり、地域との深いつながりが孤独感を和らげ、これが長寿の秘訣とされています。

生きがいを持っている

沖縄の高齢者には、社会の一員として自分も役立てるという「生きがい」を感じながら生活している人が多く、はっきりとした目的意識を持つことが長寿につながる要因とされています。

目的を持つことで、責任感や役割への充実感が生まれ、100歳を超えても元気に過ごせるのでしょう。

また、ブルーゾーンの書籍でも、沖縄では人とのつながりが非常に重要な役割を果たしていると指摘されています。

家族や親戚、友人、地域社会、さらにはご先祖とのつながりを大切にし、誰かに必要とされることで生きがいを感じているのです。

このように生きがいを持つことは、アルツハイマー病や関節炎、脳卒中の予防にもつながるとされています。

適度にお酒をたしなむ

ブルーゾーンでは、適度な飲酒は、ストレスを和らげ、健康にも良いとされる習慣のひとつです。

沖縄県の家庭でよく飲まれるのは「ビール・発泡酒」で、これは首都圏と同じ傾向ですが、次に「泡盛」が続き、沖縄らしさが表れています。

また、他のブルーゾーン地域では、イカリア島の住民は畑仕事の後にカフェで友人とワインを楽しむ習慣があります。

一日にワイン2杯ほどを日常的に飲んでおり、お酒は友人とともに食事をしながら飲むことが大切なポイントのようです。

長寿の里「大宜味村(おおぎみそん)」の長寿のひみつ

沖縄本島北部に位置する「やんばる」と呼ばれる地域にある大宜味村は、青い海と濃い緑に囲まれ、豊かな伝統文化が根付く場所です。

17の集落が広がるこの村には、2,941人(2024年8月末時点) の住民が自然豊かな環境で暮らしています。

この大宜味村は古き良き生活文化が息づく「長寿の里」としても知られ、国内外から注目されています

そんな大宜味村の長寿の秘訣も見ていきましょう。

地産地消の食生活

大宜味村の長寿の秘訣は、地元の山海の恵みを活かした食生活にあります。

お年寄りは緑黄色野菜や海藻類、豚肉や豆腐など、栄養豊富な沖縄の家庭料理を日常的に楽しんでいます。

料理はかつおだしや豚だしで塩分を抑えた味付けが特徴です。

しかし、近年はコンビニやスーパーができ、便利な食生活が広まる中、村民の食環境が変化してきました。

そこで、伝統料理を守る取り組みが行われています。

農園民宿の古堅直子さんは「元祖・ぶながや定食」で昔ながらの長寿食を提供し、訪れる人々に「山海の恵みを活かすことが長寿の源」と伝えています。

生涯現役!よく働き、よく遊び、よく笑う

大宜味村のお年寄りたちは、「生涯現役」を心がけて働き、高齢になっても体が動く限り、畑仕事や村の伝統産業である芭蕉布の糸紡ぎなど、何らかの活動を続けています。

また、村の行事やボランティア活動にも積極的に参加しています。

その姿を家族や地域が見守り、ゆいまーる(相互扶助)の精神で支え合う温かい環境が築かれているのです。

大宜味村は一人暮らしやご夫婦だけの世帯が多いですが、家庭菜園に励んだり、近所の友人とカラオケやグラウンドゴルフを楽しんだりなど、活発に暮らしています。

また、子どもや孫が島外や都市部に住んでいても頻繁に交流しており、地域で孤立することはありません。

村の集落を歩けば、子どもからお年寄りまで、あふれる笑顔に出会えます。

通りすがりの観光客にも気さくに挨拶し、声をかけ合い、無言で通り過ぎることはありません。

伝統文化と行事

大宜味村の代表的な年中行事であるウンガミ(海神祭)は、旧盆明け最初の亥の日に村内各地で行われる豊年祈願の祭りです。

特に美しい景色が広がる内海での「塩屋湾のウンガミ」では、女性たちが腰まで海に入り、男性たちが漕ぐ船を迎える迫力あるウガンバーリー(船漕ぎ競争)が見どころで、多くの観客が訪れます。

祭りに参加するお年寄りたちの晴れやかな表情からは、地域の伝統や文化を次世代に受け継ごうとする使命感と、ふるさとへの深い愛情が感じられます。

年中行事を通じて地域社会とつながり、自分の役割を果たすことも、お年寄りたちにとって大きな生きがいとなっているのです。

沖縄から学べること

沖縄の人々は野菜中心の食生活を送り、大豆などの良質なたんぱく質も摂取しています。

また、社会に貢献できる「生きがい」を持って生活していることも、長寿の要因のひとつと考えられています。

さらに、沖縄には模合という習慣があることも特徴的です。

模合は血縁や地縁、友人関係で構成されたグループが定期的に集まり、精神的・経済的な支え合いを行う場となっています。

日本の沖縄をはじめとする世界のブルーゾーンに住む人々は、コミュニティ内での役割を持ち、人とのつながりを大切にしながら、日々自然に体を動かして暮らしています。

こうしたライフスタイルをお手本に、あなたの一日を見直してみませんか?


谷口 順彦

特定非営利活動法人日本統合医学協会理事
総合学園JOTアカデミー理事長

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