皆さんは自分が住んでいる都道府県の長寿事情についてご存じでしょうか?
実は日本では平均寿命が長い都道府県が存在します。
この記事ではそんな平均寿命が長い都道府県と、そこでの取り組みについて紹介します。
日本では5年に1回、都道府県別の平均寿命の調査が行われています。
この記事では2020年の平均寿命調査をもとに解説しています。
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平均寿命・平均余命とは?
この記事では各都道府県の「平均寿命」について詳しく解説していきますが、その前に「平均寿命」と「平均余命」の違いについて説明します。
平均寿命は、生まれたときから、何歳まで生きるかの平均を表します。
平均余命は、今の年齢から、あとどれくらい生きられるかの平均を表します。
つまり、0歳の平均余命=平均寿命ということになります。
また、現在〇歳の人があと何年生きられるかを推計する場合は、平均寿命ではなく平均余命を参考にする必要があります。
日本の平均寿命の推移

日本は長寿国として知られていますが、昔から長寿であったわけではありません。
1947年(昭和22年)当時の平均寿命は、男性が50.06歳、女性が53.96歳でした。
人生100年時代といわれる現在と比べると、およそ半分の寿命で、むしろ短命という印象を受けます。
しかし、1950年(昭和25年)には男性58歳、女性61.50歳、1960年(昭和35年)には男性65.32歳、女性70.19歳と、じわじわと平均寿命が延びていきました。
そして2013年(平成25年)には、男性80.21歳、女性86.61歳と、どちらも80歳を超えました。
この寿命が延びてきた背景には、戦後の食生活の改善、医学の進歩、保険制度の整備による病院にかかりやすくなったことなど、さまざまな要因が考えられます。
近年の平均寿命の推移
厚生労働省が公表した「平均寿命の年次推移」の資料によると、2022年(令和4年)の日本人の平均寿命は、男性が81.05歳、女性が87.09歳でした。
これは、前年の2021年(令和3年)より、男性は−0.42歳、女性は−0.48歳となっています。
さらに2020年(令和2年)の数値と比較すると、男性は−0.51歳、女性は−0.62歳と低下しています。
2020年(令和2年)以前は、男女ともに平均寿命が年々伸び続けていましたが、2021年(令和3年)および2022年(令和4年)は2年連続で平均寿命が前年を下回り、その幅も拡大しています。
平均寿命が前年より下回るのは、2011年の東日本大震災以来です。
厚生労働省の分析では、男女ともに悪性新生物(がん)、心疾患、肺炎、さらに新型コロナウイルス感染症などの死亡率の変化が要因と考えられています。
参照:厚生労働省|令和4年簡易生命表の概況 主な年齢の平均余命 表2「平均寿命の年次推移」
【都道府県別】平均寿命ランキング
ここでは男女別の都道府県別平均寿命ランキングを紹介します。
<男性>
順位 | 都道府県 | 平均寿命 |
1位 | 滋賀 | 82.73歳 |
2位 | 長野 | 82.68歳 |
3位 | 奈良 | 82.40歳 |
4位 | 京都 | 82.24歳 |
5位 | 神奈川 | 82.04歳 |
6位 | 石川 | 82.00歳 |
7位 | 福井 | 81.98歳 |
8位 | 広島 | 81.95歳 |
9位 | 熊本 | 81.91歳 |
10位 | 岡山 | 81.90歳 |
<女性>
順位 | 都道府県 | 平均寿命 |
1位 | 岡山 | 88.29歳 |
2位 | 滋賀 | 88.26歳 |
3位 | 京都 | 88.25歳 |
4位 | 長野 | 88.23歳 |
5位 | 熊本 | 88.22歳 |
6位 | 島根 | 88.21歳 |
7位 | 広島 | 88.16歳 |
8位 | 石川 | 88.11歳 |
9位 | 大分 | 87.99歳 |
10位 | 富山 | 87.97歳 |
参照:厚生労働省|令和2年都道府県別生命表の概況 都道府県別にみた平均余命
男性の平均寿命に関しては、2010年まで5回連続で長野県が首位でした。
都道府県生命表は5年ごとの計測により作成されており、2020年(令和2年)の統計では前回の2015年(平成27年)に続き、滋賀県が1位となりました。
長野県(82.68歳)は前回と同じく2位で、奈良県(82.40歳)と京都府(82.24歳)がその後に続いています。
女性の平均寿命では、前回2位の岡山県が前回1位の長野県を追い抜き、トップになりました。
これは1970年の調査以降初めてのことです。
今回の調査では、滋賀県(88.26歳)、京都府(88.25歳)が続き、長野県(88.23歳)は4位となりました。
さらに、滋賀県、長野県、京都府は、男女ともに上位4位以内にランクインしています。
長寿上位の都道府県の秘訣・要因とは?
厚生労働省が発表した「令和2年都道府県別生命表」をもとに、男女それぞれの上位3位の府県、および男女ともに上位4位以内に入っている府県に注目して、長寿の5府県をピックアップしました。
それぞれの府県の長寿の秘訣・要因を見ていきましょう。
滋賀県:男性1位、女性2位

滋賀県の男性の平均寿命は82.73歳で、前回に続いて全国1位となりました。
また、滋賀県の女性の平均寿命は88.26歳であり、前回発表された4位から順位を上げて全国2位となりました。
この結果、滋賀県はトップクラスの長寿県であると言えます。
滋賀県の健康寿命推進課が長寿の要因を分析した結果、滋賀県では多くの人が健康的な生活習慣を持っており、それを支えるための生活環境が整っていることが分かりました。
具体的には、バランスの取れた食事、定期的な運動、適切な医療サービスへのアクセスが容易であることなどが、長寿に寄与していると考えられます。
生活環境の面では、失業者が少ないことや労働時間が短いこと、そして単身高齢者が少ないことなども要因の一部です。
これらの要素が、滋賀県の住民が健康で長生きするための良好な環境を作り出していると考えられています。
さらに滋賀県では、「健康寿命延伸プロジェクト」という取り組みを2014年(平成26年)から実施しています。
この取り組みは、県内の地域団体や企業・事業者が実施している健康づくりに関する優れた取り組みや、がん患者などが治療と仕事を両立できるように支援する取り組みを積極的に発掘するプロジェクトです。
具体的には、地域団体や企業が積極的に健康づくりに取り組んでいる事例を表彰し、その成果を県内に広く伝えることで、健康意識を高め、健康寿命の延伸を目指しています。
長野県:男性2位、女性4位

長野県の平均寿命は男性が82.68歳、女性が88.23歳でした。全国ランキングでは、男性が2位、女性が4位です。
長野県は男性の場合、2015年(平成27年)以前は頻繁に全国1位の長寿県に選ばれています。
長野県では、高齢者の就業率の高さや野菜摂取量の多さが、平均寿命の向上につながっていると考えられています。
2020年の都道府県別有業率のデータによると、高齢者の有業率は長野県の男性が39.6%で全国第3位、女性は22.6%で第2位です。
元気なうちは農作業を行うという考え方を持つ人が多く、やりがいを持って生活している高齢者が多いことから、社会活動やボランティアを含む高い就業率が平均寿命の高さに影響していると推測されます。
また、長野県は一人当たりの野菜摂取量が全国1位であり、これが長寿の秘訣の一つとされています。
地元で多種多様な野菜を生産しているため、県民は新鮮で旬の野菜を豊富に摂取する機会が多いことも、健康長寿に貢献している要素といえるでしょう。
さらに、健康ボランティアによる地域の健康づくり活動や、医師や保健師など専門職による積極的な地域保健医療活動も重要な要因です。
長野県は「健康で長生き」を推進していくために、長野県特有の地域性や要因について科学的な調査(※)と分析を行っています。
市町村と協力して、どの指標が健康長寿につながるかを明確にし、効果的な健康づくり施策を展開することを目指しています。
※長野県は、「健康長寿世界一の信州」を実現するために、健康づくりを効果的に進める方法を見つけるべく、研究チームを設立しました。
このチームは、長野県における健康長寿の要因を詳しく分析しました。詳しい結果や方法については、「長野県健康長寿プロジェクト・研究事業の報告書」をご覧ください。
県民の健康への意識の高さと、さまざまな活動の積み重ねが、現在の長寿を築いてきた要因です。
これらの意識と活動の成果は、長野県の宝であり、将来も引き継ぎ、発展させていくことが求められています。
奈良県:男性3位

奈良県の平均寿命データでは、2020年(令和2年)において男性は82.40歳で全国3位、女性は87.95歳で11位でした。
年次の推移を見ると、1985年から2015年までの30年間で、男性の平均寿命は74.87歳から81.36歳に向上し、全国順位も23位から4位に上昇しました。
女性も同様に、80.27歳から87.25歳に増加し、全国順位は41位から16位に向上しました。
奈良県は健康寿命に関しても2021年のデータを公表しており、男性は18. 60年で全国3位、女性は21. 13年で全国23位でした。
「健康寿命」は、日常的に介護の必要がなく、健康的に生活できる期間のことで、奈良県は、65歳の時の平均余命から、介護が必要になってから亡くなるまでの期間を引いた数値で算出しています。
県は健康寿命を日本一にすることを目指し、「なら健康長寿基本計画」を策定し、生活習慣の改善、生活習慣病の予防、健康づくりがしやすいまちづくりを目指しています。
具体的な取り組みは、栄養・食生活の改善、身体活動の促進、休養と心の健康の支援、喫煙や飲酒の対策などです。
高齢社会が進む中で、自立した生活を維持するためには、身体機能が低下しても可能な限り介護が必要ない状態を保つことが大切です。
具体的には、介護予防の取り組みや地域活動への参加を通じて、自立した日常生活を送れるようにすることが目指しています。
そのために、以下のような取り組みが進められています。
<フレイル予防>
フレイルとは、年齢とともに体や心の機能が衰えて、要介護状態に近づく状態を指します。フレイルを予防することで、将来的な要介護状態を防ぎ、健康寿命を延ばすことができます。
<誤嚥予防>
食べ物や飲み物が誤って気道に入ることで起こる誤嚥を防ぐことも重要です。誤嚥は健康に悪影響を及ぼすため、予防策を講じることで、健康な状態を維持することができます。
また、「奈良県健康ステーション」を橿原市と北葛城郡王寺町に設置し、地域住民が健康づくりを始めやすい環境を提供しています。
さらに、県は「なら10minutes Exercise」や「ステップアップ歩行」などのオリジナルな運動プログラムを開発し、健康促進に取り組んでいます。
京都府:男性4位、女性3位

京都府は、滋賀県や長野県と同様に、男女ともに平均寿命が上位にランクインしています。
京都府には「ご長寿のまち」として世界から注目される京丹後市があり、100歳以上の人口比率は全国平均の3倍を誇ります。
過去に最長寿ギネス記録保持者が在住していたことでも知られています。
また、京丹後市は単に平均寿命が長いだけでなく、健康寿命が長いこともポイントです。
京丹後市の健康長寿者の特徴が、研究により明らかになっています。
その3つの要素は以下のとおりです。
①生活リズム:朝は畑や田んぼで仕事をし、家族や地域とのコミュニケーションを大切にし、夜は規則正しい就寝を心がけています。
②食事:伝統的な日本食で、豆や魚介類から多くのタンパク質、野菜や果物から食物繊維を豊富に摂り、健康な腸内環境を維持しています。
③運動:農作業などで握力や足腰を鍛え、日常的に活動的な生活を送ることで健康を維持しています。
これらの生活習慣により、血管年齢は全国平均よりも約10歳若く、骨密度も高く、大腸がんの罹患率も低いとされています。
岡山県:女性1位、男性10位

平均寿命ランキングで女性は88.29歳を記録し、50年ぶりに全国1位となりました。男性も81.90歳で全国10位です。
岡山県が長寿県である理由は2つあります。
まず、保健医療の体制が充実していることです。
厚生労働省の調査によれば、岡山県の人口10万人あたりの医師数は333人で全国7位、全国平均を60人以上上回っています。
岡山市には病床が500床以上の大病院が7か所あり、医師の確保と最先端の医療提供が可能です。
特にがんなどに対する治療が充実しています。
次に、瀬戸内海の魚介類やフルーツに恵まれ、海の幸と山の幸がバランスよく食べられることも、寿命を延ばす要因と考えられています。
長寿といえば沖縄県?
日本で長寿と聞くと沖縄県をイメージする方が多いのではないでしょうか。
実際には都道府県別の平均寿命では、沖縄県は上位には入っていません。
しかし、75歳を基準とした平均余命では、沖縄県の男性は12.93年、女性は16.85年となっています。
これは男性では長野県の13.12年に次ぐ2位、女性では全国1位の記録となっています。
これが何を意味するかというと、75歳まで生きている沖縄の方はその後も全国的に比べて長生きしやすいということです。
つまり、沖縄県は平均寿命は高くないが、長寿の方が多くいる都道府県と言えます。
男女ともに平均寿命が長い都道府県では、他の年齢でも平均余命が長い傾向があります。
しかし、75歳の平均余命の順位を0歳時点と比較すると、男性では沖縄、宮崎、鹿児島、高知が上位にあり、石川、福井、富山、愛知が下位に下がっていることが特徴的です。
女性では男性ほどの大きな変動は見られませんが、沖縄、高知、北海道、愛媛が上昇し、滋賀、石川、富山、岐阜、三重が下位に下がっています。
参考:厚生労働省|令和2年都道府県別生命表の概況(2)主な年齢の平均余命

まとめ
近年、日本ではコロナウイルスの流行により2011年の東日本大震災以来、平均寿命が前年を下回るという結果になっています。
そんな中でも、平均寿命が長い都道府県では健康長寿を目指すための様々な取り組みが行われています。
都道府県単体での取り組みを真似するのは難しいかもしれませんが、京都府や岡山県のような栄養バランスのいい食事をとる、運動を行うなどの簡単なことから真似してみるのはいかがでしょうか。
監修者

谷口 順彦
特定非営利活動法人日本統合医学協会理事
総合学園JOTアカデミー理事長
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