「骨粗しょう症」という言葉を聞いたことはあっても、「高齢者がなる病気」「女性だけが気をつければよいもの」と考えている方もいるのではないでしょうか。
骨粗しょう症は、骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気です。
特に注意したいのが、転倒などをきっかけとした骨折です。
高齢になると、骨折によってそれまでの生活が大きく変わり、活動量の低下につながることがあります。
健康長寿を考えるうえでは、血圧や血糖値などだけでなく、「自分の足で動き続けられる身体」を維持することも大切です。
その土台のひとつとなるのが、丈夫な骨です。
今回は、骨粗しょう症とはどのような病気なのか、原因や予防方法、食事、運動との関係について、初めて学ぶ方にもわかりやすく解説します。
骨の健康は、健康長寿を支える大切な要素のひとつです。
まずは骨粗しょう症の基本と、日常生活でできる対策を一緒に見ていきましょう。
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骨粗しょう症とは?

骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気
骨粗しょう症とは、骨の強度が低下し、骨折しやすくなった状態をいいます。
骨というと、一度つくられたらそのまま変化しないもののように思えるかもしれません。
しかし、実際の骨は常に古い部分を壊し、新しい骨をつくる「骨代謝」を繰り返しています。
古くなった骨を壊す「骨吸収」と、新しい骨をつくる「骨形成」のバランスが保たれることで、健康な骨が維持されています。
ところが、加齢やホルモンの変化、栄養不足、運動不足などさまざまな要因によってこのバランスが崩れると、少しずつ骨量が減少します。
「骨密度」だけで決まるわけではない
骨の強さを考えるときによく使われる言葉が「骨密度」です。
骨密度とは、骨にカルシウムなどのミネラルがどの程度詰まっているかを示す指標です。
ただし、骨の強さを左右するのは骨密度だけではありません。
骨の構造などに関係する「骨質」も重要です。
そのため、骨粗しょう症では「骨密度」と「骨質」の両方を含めた骨の強さを考える必要があります。
骨粗しょう症が怖い理由

自覚症状がないまま進行することがある
骨粗しょう症の特徴のひとつは、骨が弱くなっているだけでは痛みなどを感じないことが多い点です。
「特に身体に異常を感じないから大丈夫」と思っていても、骨量が減少している可能性があります。
そして、転倒したときやちょっとした衝撃が加わったときに骨折し、そこで初めて骨粗しょう症がわかることもあります。
骨折しやすい場所とは?
骨粗しょう症による骨折が起こりやすい代表的な場所には、背骨、手首、太ももの付け根などがあります。
特に背骨の骨折では、「以前より身長が低くなった」「背中が丸くなった」といった変化がみられる場合があります。
| 骨折しやすい場所 | 起こりやすい変化 |
| 背骨(脊椎) | 背中や腰の痛み、身長の低下、背中が丸くなる |
| 手首 | 転倒時に手をついた際などに骨折する |
| 太ももの付け根 | 歩行や日常生活に大きな影響を及ぼすことがある |
骨折によって身体を動かしにくくなると、活動量や筋力が低下することもあります。
だからこそ、骨粗しょう症対策では「骨折してから治す」だけでなく、骨折を防ぐことが重要なのです。
骨粗しょう症の主な原因

加齢による骨量の減少
骨量は一生同じではありません。
一般的に成長期に増加し、20歳頃までに最大骨量に達した後、加齢とともに徐々に減少していきます。
そのため、骨粗しょう症は高齢になるほど注意が必要になります。
ただし、高齢になってから初めて骨について考えればよいというわけではありません。
若いうちから十分な栄養をとり、適度に身体を動かして骨の健康を保つことが、その後の骨粗しょう症予防につながります。
閉経による女性ホルモンの減少
骨粗しょう症は特に閉経後の女性に多くみられます。
大きく関係しているのが、女性ホルモンのひとつである「エストロゲン」です。
エストロゲンには骨の代謝に関係する働きがあり、閉経によって分泌量が大きく減少すると、骨量も減少しやすくなります。
そのため、閉経後の女性は骨の状態を意識することが大切です。
食事や運動などの生活習慣
骨粗しょう症には、年齢や性別、家族歴など、自分では変えることが難しい要因があります。
一方で、食生活や運動など、日常生活の中で見直せる要因もあります。
カルシウムやビタミンDなどの不足、極端な食事制限、運動不足、喫煙、過度の飲酒などは、骨の健康を考えるうえで注意したい生活習慣です。
「年齢だから仕方がない」と考えるのではなく、変えられる部分から対策していくことが重要です。
骨粗しょう症予防と食事

カルシウムだけをとればよいわけではない
「骨を丈夫にする栄養素=カルシウム」というイメージを持つ方は多いでしょう。
カルシウムは骨や歯を構成する重要なミネラルであり、不足しないよう意識することが大切です。
牛乳や乳製品、小魚、大豆製品、緑黄色野菜など、さまざまな食品から摂取できます。
しかし、骨の健康を考える場合、カルシウムだけに注目するのではなく、バランスのよい食生活を心がけることが基本です。
ビタミンDも意識する
ビタミンDは、カルシウムの吸収などに関わる栄養素です。
魚類やきのこ類などに含まれているほか、日光を浴びることによって皮膚でもつくられます。
外出する機会が少なくなり、食生活も偏っている場合には不足しやすくなる可能性があるため、食事や生活全体を見直すことが大切です。
ビタミンKやたんぱく質も大切
骨の健康には、ビタミンKやたんぱく質なども関係しています。
特定の食品や栄養素だけを大量にとるのではなく、主食・主菜・副菜を基本として、肉、魚、卵、大豆製品、乳製品、野菜などを組み合わせることが大切です。
骨粗しょう症予防は「これさえ食べればよい」というものではありません。
毎日の食事全体を整えていくことが基本となります。
運動も丈夫な骨づくりに欠かせない

骨は適度な刺激を受けることで維持される
食事とともに重要なのが運動です。
骨には身体を動かすことによって刺激が加わります。
運動不足の状態が続くと、骨の健康を保つうえでマイナスになることがあります。
骨粗しょう症予防のためには、ウォーキングや筋力トレーニングなど、骨に適度な刺激が加わる運動がすすめられています。
ウォーキングから始めてもよい
特別なスポーツを始めなければならないわけではありません。
普段あまり運動をしていない方であれば、ウォーキングなど日常生活に取り入れやすい活動から始める方法があります。
買い物へ歩いて行く、エレベーターだけに頼らず階段を使うなど、日常の中で身体を動かす機会を増やすこともひとつの方法です。
大切なのは、無理のない範囲で継続することです。
筋力を保つことは転倒予防にもつながる
骨折を防ぐには、骨そのものを丈夫にするだけでなく、「転ばない身体」をつくることも重要です。
筋力やバランス能力が低下すると、転倒しやすくなることがあります。
ウォーキングだけでなく、体力に応じた筋力トレーニングなどを組み合わせることで、筋力を維持することも大切です。
ただし、すでに骨粗しょう症と診断されている方や骨折歴のある方、持病のある方などは、自己判断で負荷の大きな運動を始めず、医師などの専門家に相談しましょう。
骨粗しょう症を予防するためにできること

骨の健康は、一つの習慣だけで守れるものではありません。
「食事は気をつけているから運動しなくても大丈夫」「運動しているから食事は気にしなくてもよい」と考えるのではなく、生活全体を整えていくことが大切です。
特に意識したいのは、カルシウムやビタミンDなどを含むバランスのよい食事、適度な運動、適度な日光浴、禁煙、過度の飲酒を避けることなどです。
また、年齢を重ねてからは、転倒しにくい生活環境を整えることも骨折予防につながります。
骨の健康と健康長寿の関係

「長く生きる」だけでなく「動ける期間」を考える
健康長寿を考えるうえで大切なのは、単に寿命を延ばすことだけではありません。
年齢を重ねても、自分で歩き、食事をし、人と交流し、自分らしい生活を続けられることも重要です。
そのためには、身体を支える骨や筋肉の健康を保つ必要があります。
骨折によって長期間身体を動かせなくなると、筋力や身体機能の低下につながることがあります。
骨を守ることは、将来の生活の質を守ることにもつながっているのです。
センテナリアンを目指すうえでも骨を意識する
100歳以上の長寿者を「センテナリアン」と呼びます。
人生100年時代といわれる現在、重要なのは「何歳まで生きるか」だけではなく、「どのような状態で年齢を重ねるか」という視点です。
骨の健康は短期間の対策だけで決まるものではありません。
若い頃からの食事や運動など、長年の生活習慣も関係しています。
30代、40代では骨粗しょう症を身近な問題として感じにくいかもしれません。
しかし、将来の健康長寿を考えるなら、骨の健康について早い段階から意識することには意味があります。
骨の健康を今日から意識しよう

骨粗しょう症は、骨の強度が低下し、骨折しやすくなる病気です。
特に注意したいのは、自覚症状がないまま進行することがあり、骨折して初めて気づくケースがあることです。
加齢や閉経など避けることが難しい要因がある一方、食事、運動、喫煙、飲酒など、日々の生活の中で見直せる部分もあります。
「まだ若いから大丈夫」と考えるのではなく、毎日の食事を整える、身体を動かす、筋力を維持するといった身近なところから骨の健康づくりを始めてみてはいかがでしょうか。
健康長寿、そしてセンテナリアンを目指す長い人生において、いつまでも自分の足で動ける身体を守るためにも、「骨を健康に保つ」という視点を日々の生活に取り入れていきましょう。
※本記事は一般的な健康情報の提供を目的としています。
骨粗しょう症の診断や治療については、医療機関にご相談ください。
監修者

谷口 順彦
特定非営利活動法人日本統合医学協会理事
総合学園JOTアカデミー理事長
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