年齢を重ねても、自分らしく元気に暮らし続けたい。
そのために大切なのは、単に寿命を延ばすことだけではありません。
身体の健康とともに、考える、覚える、判断するといった脳の働きをできるだけ長く保つことも、健康長寿を考えるうえで重要です。
特に30代、40代、50代になると、「将来の認知症が気になる」「今からできることはあるのだろうか」と考える方も増えてくるのではないでしょうか。
そこで近年、脳の健康を意識した食事法として知られるようになったのが「MIND食(マインド食)」です。
MIND食は、特別な食品だけを食べる方法ではありません。
野菜や魚、豆類、全粒穀物などを日々の食事に取り入れながら、脂質や糖分の多い食品などを控えめにするという食事の考え方です。
今回は、MIND食とはどのような食事法なのか、どのような食品を意識するのか、日本の食生活ではどう取り入れればよいのかを、初めて知る方にもわかりやすく解説します。
MIND食は、毎日の食事から無理なく取り入れられる食事法です。
認知症予防や健康長寿との関わりについて、一緒に見ていきましょう。
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MIND食とはどのような食事法?

2つの食事法を組み合わせた考え方
MIND食の「MIND」は、「Mediterranean-DASH Intervention for Neurodegenerative Delay」の頭文字から名付けられています。
簡単にいえば、「地中海食」と「DASH食」という2つの食事法の特徴を組み合わせ、さらに脳の健康を意識して考えられた食事パターンです。
地中海食では、野菜、果物、豆類、全粒穀物、魚、オリーブオイルなどを多く取り入れます。
一方のDASH食は、野菜や果物などを取り入れながら、塩分や飽和脂肪の摂りすぎを抑えることを重視した食事法です。
MIND食では、こうした特徴をベースにしながら、特に緑の葉野菜やベリー類、ナッツ、魚などが重視されています。
「これだけ食べればよい」という方法ではない
MIND食で大切なのは、特定の食品を大量に食べることではありません。
たとえば「認知症が心配だから魚だけをたくさん食べる」「野菜ジュースを飲んでいればよい」というものではなく、毎日の食事全体を整えていくことが基本です。
健康的な食品を積極的に取り入れることと、摂りすぎに注意したい食品を減らすこと。
この両方から食生活を見直す点が特徴といえるでしょう。
MIND食で積極的に取り入れたい食品

MIND食では、脳や身体の健康を考えるうえで取り入れたい食品群が示されています。
緑の葉野菜
ほうれん草、小松菜、春菊、レタス、ブロッコリーなど、緑色の野菜はMIND食を代表する食品の一つです。
野菜にはビタミンやミネラル、食物繊維などさまざまな栄養素が含まれています。
毎日の食事に取り入れるなら、おひたしや味噌汁、炒め物、サラダなど、日本の家庭料理でも十分に活用できます。
その他の野菜
MIND食では、緑の葉野菜だけでなく、その他の野菜も大切にします。
トマト、にんじん、玉ねぎ、なす、ピーマンなど、種類を限定せず、さまざまな野菜を組み合わせることがポイントです。
「特別な野菜を探す」よりも、普段購入している野菜を食卓に一品増やすところから始めると続けやすいでしょう。
ベリー類
MIND食の特徴として知られているのが、果物のなかでもベリー類を重視していることです。
ブルーベリーやイチゴなどには、ポリフェノールをはじめとする植物由来の成分が含まれています。
日本では毎日ベリー類を食べる習慣がない方も多いため、生のものだけにこだわらず、無糖の冷凍ブルーベリーなどを活用するのも一つの方法です。
ナッツ類
アーモンドやくるみなどのナッツ類もMIND食で取り入れられている食品です。
ナッツには脂質が多く含まれていますが、その種類には不飽和脂肪酸も含まれています。
ただし、健康によい食品だからといって大量に食べればよいわけではありません。
間食として少量を取り入れるなど、全体のエネルギー量も考えながら活用しましょう。
豆類
大豆をはじめとする豆類も取り入れたい食品です。
日本の食生活には、豆腐、納豆、煮豆など、豆類を取り入れやすい料理が数多くあります。
特に豆腐や納豆はスーパーなどでも手軽に購入できるため、MIND食を日本の食生活に取り入れる際に活用しやすい食品といえるでしょう。
全粒穀物
全粒穀物とは、精製の程度が低く、穀物の外皮や胚芽などが残っているものです。
玄米や全粒粉を使ったパンなどが代表的です。
普段白米を食べている方なら、いきなりすべてを玄米に変える必要はありません。
玄米や雑穀を取り入れる日をつくるなど、自分の体調や好みに合わせて続けることが大切です。
魚や鶏肉
魚もMIND食を構成する重要な食品の一つです。
魚には種類によって、たんぱく質のほか、EPAやDHAなどのn-3系脂肪酸が含まれています。
また、肉類では鶏肉が取り入れられています。
「肉を食べてはいけない」という考え方ではなく、魚や鶏肉なども組み合わせながら、食事全体のバランスを整えることがポイントです。
オリーブオイル
MIND食では、主に使用する油としてオリーブオイルが取り入れられています。
オリーブオイルは不飽和脂肪酸を含む油です。
ただし、油である以上エネルギー量は高いため、「健康によいからたくさん使う」のではなく、適量を意識することが大切です。
MIND食で控えめにしたい食品

積極的に取り入れる食品だけでなく、「摂りすぎないようにする食品」が設定されていることもMIND食の特徴です。
| 積極的に取り入れたい食品 | 控えめにしたい食品 |
| 緑の葉野菜 | バター・マーガリン類 |
| その他の野菜 | チーズ |
| ベリー類 | 赤身肉・加工肉など |
| ナッツ類 | 菓子・スイーツ類 |
| 豆類 | 揚げ物・ファストフード |
| 全粒穀物 | |
| 魚・鶏肉 | |
| オリーブオイル |
ここで注意したいのは、「控える=絶対に食べてはいけない」ではないことです。
健康的な食生活は、一度の食事だけで決まるものではありません。
たまにケーキを食べたり、外食で揚げ物を楽しんだりしたからといって、それまでの食生活が無意味になるわけではありません。
日常的に何を多く食べ、何を控えめにするのかという「食事の傾向」を整えていくことが大切です。
なぜMIND食が認知症予防で注目されている?

食生活と脳の健康は切り離せない
脳も身体の一部です。当然ながら、日々の食事から摂取する栄養素によって支えられています。
さらに、脳の健康を考える際には、血管や代謝の健康も重要です。
そのため認知機能を守るという視点でも、「脳に効く食品」を一つ探すのではなく、身体全体の健康を支える食生活を続けるという考え方が重要になります。
MIND食と認知機能について研究が続いている
MIND食は、認知機能の低下や認知症との関連について研究が行われている食事法です。
これまでの観察研究では、MIND食に近い食生活を送っている人ほど、認知機能の低下やアルツハイマー型認知症のリスクが低い傾向を示したものがあります。
一方で、MIND食の効果を調べた比較試験では、MIND食を取り入れたグループだけに明確な認知機能改善効果が確認されたわけではない研究もあります。
そのため、現時点では「MIND食を実践すれば認知症を防げる」と断定することはできません。
MIND食はあくまでも、脳を含めた健康を考えるうえで参考になる食事パターンの一つとして捉えることが大切です。
日本の食生活でMIND食を取り入れるには

すべてを一度に変える必要はない
「海外で考えられた食事法」と聞くと、特別な料理を作らなければならないように感じるかもしれません。
しかし、MIND食の考え方を取り入れるために、毎日の献立をすべて洋食に変える必要はありません。
たとえば朝食に納豆を加える、昼食に野菜の小鉢を選ぶ、夕食の主菜を魚にする、間食をとるならナッツや果物を選ぶといった方法があります。
普段の和食をベースにしながら、食品の選び方を少しずつ変えていくことは十分可能です。
「足りないものを足す」ことから始める
食生活を改善しようとすると、「お菓子は禁止」「揚げ物は禁止」といった制限から始めてしまいがちです。
しかし、最初は「野菜を一品増やす」「週の献立に魚料理を取り入れる」「白いパンだけでなく全粒粉パンも選んでみる」など、健康的な食品を足すことから考えてみると続けやすくなります。
食生活は毎日のことだからこそ、完璧さよりも継続できる方法を見つけることが重要です。
MIND食だけではない認知症予防と健康長寿

食事は生活習慣の一部分
認知症予防や健康長寿を考えるとき、食事だけに注目するのは十分ではありません。
身体を動かすこと、睡眠を整えること、人との交流を保つこと、喫煙を避けること、過度な飲酒を控えることなど、さまざまな生活習慣が将来の健康に関係します。
MIND食も、こうした生活全体を整える取り組みの一つとして考えるとよいでしょう。
センテナリアンを目指すうえでも毎日の積み重ねを
100歳以上の長寿者は「センテナリアン」と呼ばれます。
もちろん、センテナリアンになれるかどうかを特定の食品や食事法だけで決めることはできません。
健康長寿には遺伝的な要素だけでなく、生活環境や日々の習慣など多くの要因が複雑に関係しています。
だからこそ、「これを食べれば長生きできる」という食品を探すよりも、長い目で自分の生活を整えていくことが大切です。
30代や40代では認知症や介護をまだ遠い将来のことに感じるかもしれません。
しかし、食事は今日から見直せる生活習慣です。
将来のためだけではなく、現在の身体を健やかに保つという意味でも、日々の食事について考える価値があります。
MIND食は「続けられる食生活」を考えるきっかけに

MIND食は、地中海食とDASH食をもとに、脳の健康に着目して考えられた食事法です。
緑の葉野菜をはじめとした野菜、ベリー類、ナッツ、豆類、全粒穀物、魚などを積極的に取り入れ、バターや菓子類、揚げ物などは控えめにすることを基本としています。
ただし、MIND食を続ければ必ず認知症を予防できるわけではありません。
食事だけで認知症や健康長寿のすべてが決まるものでもありません。
大切なのは、MIND食を「厳しい食事制限」として考えるのではなく、自分の普段の食生活を見直すヒントとして活用することです。
「今日は野菜をもう一品食べよう」「今週は魚料理を取り入れよう」といった小さな選択であれば、無理なく始めることができます。
センテナリアンのように年齢を重ねても健やかに暮らしていくためには、特別な健康法を短期間だけ実践するのではなく、毎日の生活のなかで健康的な選択を積み重ねていくことが大切です。
MIND食を知ることをきっかけに、10年後、20年後の自分の健康を支える食生活について考えてみてはいかがでしょうか。
監修者

谷口 順彦
特定非営利活動法人日本統合医学協会理事
総合学園JOTアカデミー理事長
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学んですぐに実践できるセンテナリアンの食事の基本の軸を学び、日々の食事の見直すことで、①料理時間の短縮②栄養のバランスが取れる③食材・食費の無駄が減るといったことが目指せます。
また、季節ごとの具体的な献立もご紹介。学んですぐに実践いただけます。
東洋医学に基づき、自身の体質や健康状態を把握する方法を学び、季節ごとに適した食材を使ったレシピを紹介します。無理なく続けられる「ちょこっとおかず」レシピも充実しており、毎日の食事に薬膳を自然に取り入れることが可能です。この講座を通じて、家族や自分の健康をサポートし、予防医学としての薬膳の力を身につけてみませんか?
発酵食品の基礎知識から甘酒、ぬか床、納豆、麹を使った調味料など、それぞれの発酵食品の特性や作り方、健康効果を学びます。さらに、ご家庭で実践できる発酵食品を使ったレシピも紹介されており、日常生活にすぐに取り入れることができます。



