「最近、人の名前がすぐに出てこない」
「物をどこに置いたのか忘れることが増えた」
年齢を重ねるにつれて、このような変化を感じ、「もしかして認知症では?」と不安になる方もいるのではないでしょうか。
高齢化が進むなか、認知症は決して他人事ではありません。特に健康長寿を考えるうえでは、単に長く生きるだけではなく、できるだけ長く自立した生活を続けることも大切です。
では、認知症は生活習慣によって予防できるのでしょうか。
最初に知っておきたいのは、「これをすれば認知症にならない」という確実な方法は、現時点ではないということです。認知症には年齢や遺伝的な要因、病気、生活環境など、さまざまな要素が関係しているためです。
一方で、近年の研究からは、日々の生活に関係するいくつもの要因が、将来の認知症リスクと関連していることがわかってきました。
つまり認知症予防では、「絶対に防ぐ」ことではなく、将来のリスクをできるだけ小さくしていくという考え方が重要です。
今回は、健康長寿やセンテナリアンを目指すうえでも知っておきたい、認知症と生活習慣の関係についてわかりやすく解説します。
認知症と生活習慣にはどのような関係があるのか、健康長寿のために今からできることを一緒に見ていきましょう。
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認知症はなぜ起こる?

認知症は一つの病気ではない
認知症とは、さまざまな原因によって認知機能が低下し、日常生活に支障が生じている状態を指します。
認知機能には、物事を覚える「記憶」だけでなく、考える、判断する、理解する、計画を立てるといったさまざまな働きが含まれています。
そのため、認知症になると必ず「物忘れ」だけが現れるわけではありません。
また、認知症にはアルツハイマー型認知症や血管性認知症など複数の種類があり、それぞれ原因や特徴が異なります。
加齢だけで決まるわけではない
認知症の大きなリスク要因の一つが加齢です。
しかし、年齢だけですべてが決まるわけではありません。
血圧や血糖、運動習慣、喫煙、飲酒、社会とのつながりなど、長年にわたるさまざまな要素が認知症のリスクと関係していることがわかっています。
特に重要なのは、認知症予防を高齢になってからだけの問題として考えないことです。
30代、40代、50代から生活習慣を整えることは、将来の健康を考えるうえで意味があります。
認知症予防は本当にできる?

「完全に防ぐ」ことと「リスクを下げる」ことは違う
認知症予防について考えるとき、注意したいのが「予防」という言葉です。
例えば、運動を続けて健康的な食事をしている人でも、認知症になる可能性はあります。
反対に、特定の生活習慣だけで認知症を確実に防げるともいえません。
そのため、認知症予防では「発症を完全に防ぐ」というよりも、「認知機能の低下や認知症につながる可能性のある要因を減らす」という考え方が現実的です。
一つではなく複数の習慣を見直す
現在注目されているのが、複数の生活習慣を総合的に整えていく考え方です。
運動だけを頑張る、特定の食品だけを食べるといった方法ではなく、運動、食事、生活習慣病の管理、社会参加などを組み合わせて考えます。
認知症にはさまざまな要因が関係するからこそ、健康づくりも一つの方法に偏らないことが大切なのです。
認知症予防のために見直したい生活習慣

体を動かす習慣をつくる
運動や日常的な身体活動は、認知症予防を考えるうえで大切な習慣の一つです。
体を動かすことは筋力や体力の維持だけではなく、血圧や血糖、体重などの管理にもつながります。
難しい運動を始める必要はありません。
ウォーキングをする、買い物へ歩いて行く、階段を使う、家事でこまめに体を動かすなど、日常生活のなかで活動量を増やす方法もあります。
年齢を重ねても自分の足で外出できる体を維持することは、人との交流や社会参加を続けることにもつながります。
食事は「特定の食品」より全体のバランスを
「認知症予防には何を食べればいいの?」と気になる方も多いでしょう。
しかし、一つの食品だけを食べ続ければ認知症を防げるわけではありません。
健康づくりの基本となるのは、さまざまな食品を組み合わせ、栄養バランスを意識することです。
また、食生活は高血圧、肥満、糖尿病などの健康状態とも深く関係しています。
認知症だけを目的に食事を考えるのではなく、体全体の健康を維持する食生活を心がけることが、結果として将来の健康を支えることにつながります。
血圧や血糖などを放置しない
脳の健康と体の健康は切り離して考えることができません。
特に高血圧や糖尿病、肥満などは、認知症のリスクとの関連が指摘されています。
健康診断で血圧や血糖値などを指摘されても、「症状がないから大丈夫」とそのままにしてしまう方もいるかもしれません。
しかし、生活習慣病は自覚症状が乏しいまま進行する場合があります。
定期的に健康状態を確認し、必要に応じて生活習慣を見直したり、適切な治療を受けたりすることが重要です。
喫煙や過度な飲酒を見直す
喫煙や過度な飲酒についても、将来の認知症リスクを考えるうえで注意したい生活習慣です。
特に喫煙は認知症だけではなく、がんや循環器疾患など、さまざまな病気のリスクと関係します。
また、お酒についても「健康のために飲んだほうがよい」と考えて無理に飲む必要はありません。
認知症予防という一つの目的だけではなく、健康長寿という広い視点から生活習慣を見直してみましょう。
人とのつながりも脳の健康に関係する

会話や交流は大切な刺激になる
健康長寿というと、食事や運動に目が向きがちですが、人とのつながりも大切です。
家族や友人と話す、地域活動に参加する、趣味を仲間と楽しむなど、人との交流ではさまざまな認知機能を使います。
「相手の話を聞く」「内容を理解する」「自分の考えを伝える」といった普段の会話にも、脳のさまざまな働きが必要です。
社会とのつながりを持ち続けることは、心身の健康を考えるうえでも重要な意味を持っています。
趣味や学びを続ける
新しいことを学んだり、趣味を楽しんだりすることも、日常生活に良い刺激をもたらします。
読書、料理、音楽、囲碁や将棋、旅行、語学、資格の勉強など、内容は人によって違って構いません。
大切なのは、無理に「脳トレをしなければ」と考えるのではなく、自分が楽しみながら続けられる活動を見つけることです。
興味を持って行動し、人と交流する機会をつくることは、充実した生活そのものにもつながります。
「聞こえ」にも目を向けよう

聴力の変化を年齢のせいだけにしない
近年、認知症との関係で特に注目されている要素の一つが難聴です。
聞こえにくくなると、会話についていきにくくなったり、人と話すことを避けたりして、交流の機会が減ってしまうことがあります。
本人は気づいていなくても、「テレビの音量が以前より大きくなった」「何度も聞き返すようになった」と周囲が先に変化に気づく場合もあります。
聞こえにくさを感じた場合は、「年齢だから仕方がない」と決めつけず、必要に応じて専門家へ相談することも大切です。
睡眠も健康づくりの基本

睡眠だけで認知症を防げるわけではない
睡眠と認知機能の関係についても研究が進められています。
ただし、「毎日○時間眠れば認知症にならない」という単純なものではありません。
睡眠は心身の休養に欠かせない生活習慣の一つとして考えることが大切です。
日中に適度に体を動かす、生活リズムを整える、夜更かしを繰り返さないなど、まずは基本的な睡眠習慣を意識してみましょう。
強いいびきや日中の強い眠気、長期間続く不眠などがある場合には、単なる寝不足と自己判断せず、医療機関へ相談することも必要です。
健康長寿につながる認知症予防の考え方

認知症だけを予防しようとしない
ここまで見てきた生活習慣には、共通点があります。
運動、バランスのよい食事、血圧や血糖の管理、禁煙、人との交流、適切な睡眠。
これらは認知症予防だけに必要な特別な習慣ではありません。
心臓や血管、筋肉、骨などを含め、年齢を重ねても健康な生活を続けるための基本的な習慣でもあります。
つまり、「認知症にならないために何か特別なことをする」というよりも、「将来も元気に暮らすために生活全体を整える」という考え方が大切なのです。
センテナリアンを目指すうえでも大切な視点
100歳以上の長寿者であるセンテナリアンについて考えるときも、単に寿命の長さだけを見るのではなく、どのように年齢を重ねていくかという視点が重要です。
健康長寿を支えるものは一つではありません。
| 健康のために意識したいこと | 日常生活でできること |
|---|---|
| 身体活動 | 歩く、家事をする、外出する |
| 食生活 | 偏りを避け、バランスを意識する |
| 健康管理 | 健診を受け、血圧や血糖などを確認する |
| 社会参加 | 家族や友人との交流、地域活動などを楽しむ |
| 知的活動 | 趣味や学びを続ける |
| 休養 | 睡眠と生活リズムを整える |
| 聴力 | 聞こえの変化を放置しない |
すべてを一度に変える必要はありません。
「少し歩く時間を増やす」「しばらく会っていない友人に連絡する」「健康診断の結果を見直す」など、自分ができるところから始めてみましょう。
認知症予防は何歳から始めればいい?

早すぎるということはない
認知症は高齢者だけの問題と思われがちですが、将来のリスクを考えるのであれば、中年期から健康状態や生活習慣に目を向けることにも意味があります。
30代や40代であれば、「まだ認知症を心配する年齢ではない」と感じるかもしれません。
しかし、この時期から運動習慣をつくり、生活習慣病を予防・管理し、人とのつながりや趣味を大切にすることは、認知症だけでなく将来の健康全体に役立ちます。
高齢になってからでも生活を整える意味はある
一方で、「もう70代だから遅い」ということでもありません。
年齢に合わせて体を動かす、人との交流を続ける、健康状態を適切に管理するといった取り組みは、高齢になってからも大切です。
認知症予防を「若いうちにできなかったから手遅れ」と考える必要はありません。
それぞれの年代や健康状態に合わせて、今できることを続けていくことが重要です。
まとめ

認知症を確実に防ぐ方法は、現時点ではありません。
しかし、研究が進むにつれて、運動不足や高血圧、糖尿病、喫煙、過度な飲酒、社会的な孤立、難聴など、認知症のリスクと関係するさまざまな要因が明らかになってきています。
だからこそ、認知症予防では一つの食品や健康法だけに頼るのではなく、生活全体を長期的な視点で整えていくことが大切です。
そして、こうした生活習慣は認知症のためだけのものではありません。
体を動かし、食事を楽しみ、人とつながり、健康状態を確認しながら毎日を過ごすことは、健康長寿を目指すための基本でもあります。
100歳以上を生きるセンテナリアンが珍しくない時代を迎えつつある今、「何歳まで生きるか」と同時に、「どのように年齢を重ねるか」を考えることがますます重要になっています。
認知症予防を特別な取り組みとして捉えるのではなく、これからの自分の健康を守るための生活づくりとして、できることから少しずつ始めてみてはいかがでしょうか。
監修者

谷口 順彦
特定非営利活動法人日本統合医学協会理事
総合学園JOTアカデミー理事長
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学んですぐに実践できるセンテナリアンの食事の基本の軸を学び、日々の食事の見直すことで、①料理時間の短縮②栄養のバランスが取れる③食材・食費の無駄が減るといったことが目指せます。
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